2009/01/01
アメリカ不思議体験記(2009年新春書下ろし)
アメリカ不思議体験記(2009年新春書下ろし)
あれは、私が就職して数年経った20代後半の秋であった。
あの頃の日本は、全体が暗かったというか息苦しかった。
バブル崩壊後、日本人全員が頭をうな垂れていたのだ。
また、会社組織の人間関係で相当ストレスがあった。
なんだか、すべてが嫌になり、思いたったら鉄砲玉。
後先考えず、長期休暇をとり、旅行へ行こうと決意。
行き先は、アメリカ。
デルタ航空使って、オレゴン州のポートランドへ。
何の目的もない。
一人旅であり気楽なものだ。
そして、何日かたったある日、何処かのバーに入った。
何杯か飲んで帰ろうとしたとき、ある老婆から声をかけられた。
おもろい婆さんで、日本人と初めて話したと喜んでいた。
実際、ポートランドで買い物して、クレジットカード署名で自分の名前を書くと、漢字を初めて見たって人がほとんどだった。
話がすすむうちに、「神を感じたことあるか」とこう聞かれた。
一瞬、何かの宗教の勧誘かと思い、身構える。
アメリカで気をつけたのは「ホモ」と「ドラッグ」の2つだけれども、「宗教」も加えようかと真剣に思ったものだ。
でも、よく聞いてみると勧誘でも何でもなかった。
彼女は私に大事なことを教えてくれようとしていたのだ。
私は、彼女の問いに対し、「感じたことはない」と正直に答えた。
彼女はこう言った。
「神は、目に見えない。香りもない。触ることもできない。聞くこともできない。」
「でも、感じることができるじゃない。ちょうど、風のように。」
この瞬間、不思議なことが起こった。
本当、神様にぎゅっと抱きしめられたような感じで、もの凄く、ハートが熱くなったのだ。
私は、自然と目を瞑りながら、話を聞いていた。
真っ暗な宇宙の中で、神に抱きしめられていた。
ちょっとした放心状態だったのだろう。
目を開けたら、その婆様はトイレにでも行ったのかいなかった。
それにしても、何なんだろう今の感覚は。
しかし、いいこというなぁ。神は風の如しか。。。
バーデンダーに「婆様遅いね」と問うと、「誰ですか」と言う。
「怖いこと言わないでよ。私と話していたあの婆さんだよ。」
そしたら、そのバーテンダー。
もう一回、「知らない」と言う。
なんか、鳥肌が立ってきた。
なんだ。そうであれば、私は異国のバーでただ居眠りをこいていただけなのか。
それにしても、リアルすぎる。
私の英語が下手なだけなのかもしれない。
もう一回、バーテンダーに質問してやろう。
そう思った瞬間、バーの扉がバタンと空いて、風が入ってきた。
そして、また、あの感覚。
神に抱きしめられているような感覚でまたも放心状態となった。
今でも信じられないけれども、全部夢かもしれない。
ただ、あのバーで酒を飲んで、居眠りしていたのは事実。
信じるか信じないかではなく、感じるか感じないか。
これが、私の不思議アメリカ体験だ。
帰国後。
日本に帰って、母親から連絡がある。
「あんた、何処、行っていたのよ!
何度も電話連絡したのに。
おばあちゃんが亡くなったよ。」
ナトリさま
コメント頂きましてありがとうございます。
今年も宜しくお願い申し上げます。
海外一人旅、イイですね。
私も、一人の時間を大切にしています。