中小企業支援元年「税理士事務所が試されるとき」
1.中小企業庁トップからのメッセージ
今年(平成二十四年)、中小企業庁長官である鈴木正徳氏の年頭所感に、我々会計人は、背中に電流が走りました。
その内容は、三点ありました。
第一 東日本大震災からの復興支援。
第二 厳しい内外環境を勝ち抜く自立的な中小企業に対する支援。
第三 来年度に向けた中小企業関連の予算・税制。
2.中小企業支援の担い手
注目すべきは、第二の中小企業に対する支援の担い手に、「税理士事務所」が挙げられていたことにあります。
本文から抜粋
「まず、中小企業の皆様の経営課題がより多様化・複雑化している中で、経営支援の担い手の多様化・活性化の観点から、商工会、中小企業団体中央会、商工会議所を始め、地域金融機関、税理士事務所なども含め、幅広く経営支援機関に対する支援を強化してまいります。」
http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/nentouShokan/2012Year.htm
従前より、中小企業支援の担い手は、商工会、中小企業団体中央会、商工会議所です。
ところが、今年、税理士事務所が追加されています。官僚は、言葉の使い方がとても慎重です。国税庁など税理士の所管庁ではない中小企業庁が、中小企業診断士ではなく税理士と明言してきました。
これは、数も多い税理士事務所に中小企業支援の役割を担ってほしいという日本国家のメッセージと捉えることができます。
3.社会からの期待
中企業支援の担い手に税理士事務所を加えたのは、前中小企業庁長官の高原一郎氏と言われています。
社会から期待されている税理士事務所が、従前どおり、記帳や税務申告のみの仕事をしていることがわかれば、中小企業庁は、方針を変えていくだろうと思います。
頼まれごとは試されごと。
これまでもこれからも、お客様を支援し続けようと思います。
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人生を有効に生きる 8つの視点 3
2012年第一四半期(1~3月)も終り、第二四半期(4~6月)に突入しました。。。
私の中には、元旦が5つあります。
確定申告と各四半期の初日です。
5つとは。。。
1月1日(元旦・第一四半期初日)
3月15日(確定申告〆日)
4月1日(第二四半期初日)
7月1日(第三四半期初日)
10月1日(最終四半期初日)
5つの元旦で、頭を切り替えています。
いずれにせよ、4月となりました。
寒暖の差が激しい季節でもあります。
皆様もお体ご自愛ください。
さて、今回も、8つのうち、3つの視点を紹介します。
(人生を有効に生きる8つの視点)
4.金銭感覚
コストパフォーマンスを考えている。
勉強の結果、成果とコストが合うかと考えている。
自分のプロフェッショナルな技量や度量を磨くために身銭を切っている。
お金のコストだけでなく、月や年単位で計どのくらい、その勉強に時間を使ったかを把握している。
成果の見えにくい教材やスクールに、ズルズルとお金を払ったりしない。
ときに思い切って勉強に投資する「投資思考」で、生き金の使い方を考える。
5.他人から学ぶ
他人から学ぶ、吸収する力があるか?
人生でメンターといえる人物や、具体的にこうなりたいと思う歴史上の人物がいる。
それらの人たちの言葉や行動から、貪欲に何かを得ようと心がけている。
厳しい上司、うるさい上司から徹底的に学んだり、教えられた経験がある。
テキスト(仕事に関する資料)はボロボロになるまで読み、書き込む。
それらを単なる座学でなく、生きた知恵として身につけている。
6.アウトプットする
インプットだけでなく、アウトプットしているか?
成果を数字で見る仕組みがある。(テストの得点・合否、昇級・昇段など)
アウトプットが評価されるような場面や、具体的な相手の顔が浮かぶ。
人に教えた経験や、マニュアルや教材をつくった経験がある。
人を育てることにより、自らの知識を体系化し、一段高いものにしている。
知識の体系化により自分の立ち位置を確認、次の階段を上ることができる。
「経営とは、事業承継である」
「経営とは、事業承継である」
(要旨)
・経営者の仕事は、後継者を育成すること。
・育成できなければ、大企業への第三者承継(M&A)しかない。
・後継者育成の覚悟が必要です。
・後継者には、経営計画の立案をさせよ。
はじめに~経営者の仕事とは?
「経営者の仕事とは?」と問われ、どうお答えになりますか。
このブログの読者の中には、事業をされている方、会社経営者や役員の他、会計事務所、公的な支援機関、金融機関、コンサルティング会社の方もいらっしゃるでしょう。皆様の頭のなかに、この問いに対する様々な回答が去来しているものと推察いたします。私見ながら、経営者の最も重要な仕事の一つは、「後継者を育てること」だと考えております。
1.事業承継の本質
なぜ、後継者を育てる必要があるのでしょうか。
経営者は、できるだけ事業を継続する義務がありますし、会社の制度も継続を前提としています。経営者が不老不死であれば、事業承継の問題はおこりません。しかしながら、経営者は、人間です。悲しいことに寿命があり、必ず、死んでしまいます。事業は、スタッフ及びその家族、お客様など利害関係者を幸せにするために存在するものです。経営者が亡くなったら、会社もなくなる。こういうことはあってはなりません。経営者は、次の経営者「後継者」を育てる必要があり、覚悟が必要です
2.後継者育成の覚悟
なぜ、後継者を育成するのに、覚悟が必要なのでしょうか。
後継者を育成できない場合、第三者承継(M&A)か廃業しか道はないからです。経営者は、60歳を迎えた時、後継者を育成できなければ、経営力のある上場会社ないしは資本力のある大会社などへ全株譲渡する覚悟が必要です。会社の継続を考えた時、実力のある経営者へ経営をお任せしたほうが、利害関係者が幸せです。頼りないリーダーに委ねると、皆が不幸になります。
事業承継には、4つの出口しかありません。
1.上場 2.親族内か役員への継承 3.第三者承継(M&A)4.廃業
中小企業の経営に携わる方々全員、この選択肢しかないことをご認識頂ければ幸いです。
3、大会社の戦略とM&A
上場会社ないし資本力のある大会社の戦略は、M&Aによる規模拡大と海外戦略が特徴です。事実、M&Aの買収は、上場企業が圧倒的に多いです。また、人口減少が明らかで、市場が縮小する日本の比率をどんどん小さくしており、海外への比重を増やしています。
私見ながら、大会社によるM&Aが活発であるということは、日本の国力の衰退を招く側面もあると考えています。大会社は、その資金力等で、相当手強い。中小企業は、そんな会社と競合することなく、しなやかに生き残っていく必要があります。常日頃、同じ業種の上場企業のIRなどで、どういう戦略を立案しているかよ~く見ておく必要があります。
4.後継者育成のヒント~事業発展計画書の作成
後継者育成には、育成する方には相当の我慢が必要でしょうし、教えられる方は相当の能力や修練も必要です。育成できなれば、大会社へ全株売却する覚悟で臨みますから、毎日が真剣勝負となります。
中小企業は、事業主そのものです。誰よりも会社のことを考え、学習し続けているのも事業主です。
ただ、私の感覚では、経営計画を作成している事業主は、3割。残りの7割の事業主は全く経営計画を作成していません。
後継者育成の方法として、経営計画書を書いて頂くことをお勧めします。
狙いは、
①商売から経営に転換させること。
②会社の経営計画と個人のライフプランを切り離すこと。
今後、経営のプロフェッショナルでなければ生き残ることはできないと思います。
経営計画を作成していない⇒商売をしている(目の前のことだけ)
経営計画を作成している⇒経営をしている(戦略立案できる)
日本M&A国際会議 IN スイス・チューリッヒ
(はじめに)
17日(土)~21日(水)3泊5日間の旅程で、日本M&A国際会議にて、スイスのチューリッヒに滞在していました。
その間、日本M&Aセンターの戦略やスイスの資産管理ビジネスの現状などを学習しました。
また、日本中の会計事務所の先生方との交流を通じて、会計事務所の進むべき方向性を再確認できました。
月曜日、現地で更新するつもりで、パソコンを持参しました。
しかし、部屋では繋ぐことが出来ず、アップを断念。
しかも、帰国してもパソコンの不具合でネット難民となり、ようやく会社にて木曜日更新となりました。。。
(スイスの現状)
エールフランスで、関西国際空港からシャルル・ド・ゴール空港経由で、チューリッヒ空港へ到着しました。
時差は8時間マイナス。
今、日本の時刻が22日の7時30分ですから、スイスでは、21日の23時30分となります。
スイスは、九州くらいの大きさで人口790万人。
小さい国です。
税制面等優遇して、戦略的に生き残りを図る逞しさがあります。
ヨーロッパでは、ユーロには属さず、自国の通貨スイスフランで通してます。
(閑話休題)
関西空港で、5万円を520スイスフランに変えました。
1スイスフラン=95円。(2012年3月17日時点)
チューリッヒ美術館で、ピカソの絵など鑑賞いたしました。。。
http://www.kunsthaus.ch/
(京都の大型会計事務所、ひろせ総研の花山所長とピカソの絵の前で)
スイスは、アルプスの少女ハイジのイメージが強く、最初、山を探したほどです。
チューリッヒには、山はありません。。。
ずっと曇りや雨で、残念ながら景色は楽しめませんでしたが、それもヨーロッパの情緒だと思います。
(チューリッヒの街並み)
人生を有効に生きる8つの視点 2
今年度の確定申告も今週で終了致します。
100メートル走を全員で全力で駆けぬけました。。。
一方、長期的な視点も必要です。
今回は、8つのうち、3つの視点を紹介します。
(人生を有効に生きる8つの視点)
1.人生の目的~目的意識をもっているか、価値観は明確か?
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人生の残り時間を意識し、数値化している。
残り時間で何に集中し、特化するか決めている。
ずるずると期限を迎えるのでなく、デッドラインを決めている。
常に「長期の中での現在」という目が備わっていて、何を勉強するか選ぶ。
意味のない資格や学歴をほしがったり、手に入れようとしない。
2.継続する~継続する力があるか、損切りはできるか?
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決めた分野以外に目移りしたり、手を出したりせず、コツコツと続けている。
継続的に勉強を続ける仕組みをつくっている。
コツコツを愚直にやり続けた結果、ブレークスルーの経験がある。
最低でも10年続ける。(いわゆる1万時間の壁を突破する)
一方でこれ以上続けるべきかを見極め、冷静に分析して方向転換を図ることができる。
3.集中する~集中して取り組んでいるか、将来性はあるか?
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錐がどこまでも深く差し込むように、得意分野を深耕している。
勉強を続けた結果の明るい未来を理屈でなく、目に見えるように描けている。
なぜ、その勉強をするか、目的を超えた使命感がある。
一貫性があり、必要以上に拡大路線を取らず、強みに集中している。
強みが単なる得意分野でなく、将来性と市場性のある強みである。
人生を有効に生きる8つの視点
人生年表で自分が死ぬ時期を仮定して決めています。
時間は限られているということを改めて思い知らされます。
10年日誌を今年から書いておりますが、3冊目に突入して書く頃には、私も60代です。
限られた人生を有効に生きる8つの視点を教えて頂いたので、来週以降、紹介していきたいと思います。
≪8つの視点≫
1.人生の目的
2.継続する
3.集中する
4.金銭感覚
5.他人から学ぶ
6.アウトプットする
7.基本という土台
8.一流を知る感性
曼荼羅シートで成功するには?
曼荼羅シートで成功するには?
先日、異業種交流会で、自分自身の曼荼羅シートを発表しました。
改めて成功の定義を確認しました。
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成功は、一時点のものでは決してなく、その過程をいうことを。
そして、その項目すべてバランスよく伸長させることが、成功している状態ということを。
曼荼羅8項目の優先順位です。社長で余暇が最初にくると不安になります(笑)
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1.仕事
2.人格
3.継続学習
4.社会
5.健康
6.家庭
7.経済
8.余暇
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追伸
以前、コーチングのセミナーの中で、あなたはなんと言われたら嬉しいですかと問われた時があります。
私は、迷わず「バランスの良い人」と答えました。
曼荼羅の8項目をバランスよく実現したいですね。。。
中小企業と大企業の違い
佐藤肇氏の「社長が絶対に守るべき『経営の定石50』」を読んでいます。
定石21
「これからは年功序列型賃金から能力型賃金へ移行する
ただし、人件費の改革は時間をかけて着実に行え」
200~205頁を抜粋引用、加筆修正します。
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1.給与大国日本
グローバル化の流れは、給与体系にも及んでいます。
日本が経済大国になり、給与も世界最高となりました。
40~50歳以上の社員の中には、本人の仕事の成果と給与が合わない人たちが続出しています。
これまでの慣習や人間関係、労務コンプライアンスなどに縛られていれば、企業は滅んでしまいます。
2.大企業の実態
そこで、大企業の給与体系。
確かに60歳まで雇用するが、早期退職制度を45歳頃から適用し始めます。
社員は55歳から役職定年制度を導入し、一切の役職から退くような対応しています。
大企業の平均賃金カーブは55歳くらいから中折れして、60歳の定年を迎えています。
60歳の定年を迎え、退職金を支払い、給与を5割下げて65歳まで嘱託などの雇用を延長しています。
3.中小企業の今後の給与体系
一方、中小企業の賃金カーブの多くは、55歳を過ぎても60歳まで順調に伸びている。60歳から65歳までもそのまま定年制を延長しているだけ。のんきな対応です。
佐藤氏は、20年かけて、社員の生涯生活プランを立案して、それが実現できるような給与体系にしています。
「持家制度」を実施し、55歳までに住宅ローンを返済できるよう工夫しています。
今後、人員の増加は、労働生産性を勘案した増員でなければ、生き残っていけないと思います。
以上、引用抜粋加筆修正終了。
これからは、給与体系にも、目を配ったほうがよいと思います。
企業は人がすべて。
温情ある給与体系を目指すことが経営の定石かと考えております。
中央大学学員会 石川県支部
過日、2月7日(火)、中央大学学員会 石川県支部常任幹事会が開催された。
来期の大方針がほぼ了承されました。。。
最近、石川支部事務局長という役割から、講演や人と会う度に、中大出身と意識して自己紹介するようにしています。
職業で多いのは、県庁・市役所などの公務員の方、金融機関、経営者、弁護士・税理士などの専門家です。
現在、名簿を作成しておりますが、こちらで把握しているだけで1,500名近くの卒業生がいます。
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利害関係を超えた先輩との交流は、不思議なものです。
最後に、肩を組んで「惜別の歌」を全員で合唱します。
場所と時間を超えて、かつて学校が一緒だった絆で、なんとも言えぬ高揚感が漂います。
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会の活性化は、30~50代の層と女性の参加だと思っております。
どんどん企画していこうと思っております。
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今後の主なスケジュール
7月28日(土)ゴルフ大会
7月29日(日)総会・懇親会
9月以降、母校を訪ねる1泊2日のバスツアーも企画しております。
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国外財産に関する調書の提出義務の創設
1.富裕層の実態と外貨運用
富裕層のお客様の中には、財産を外貨で運用している方もいるでしょう。
日本国家の財政状態を考えると、カントリーリスクに配慮して、数パーセントは外貨で保有することは賢明だと思います。
そういう方には、平成24年度税制改正大綱「国外財産に関する調書の提出義務の創設」にご留意ください。
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2.国外財産に関する調書の提出義務の創設
平成24年度税制改正大綱で、全く新しい項目が追加されました。
平成25年分からの改正(平成25年12月31日の保有資産に基づく平成26年3月17日までの提出から)
「国外財産に関する調書の提出義務の創設」
その年の12月31日において5千万円超の国外財産を有する居住者は、その種類、数量及び価額等を記載した国外財産調書を、翌年3月15日までに税務署長に提出しなければならない。
ここで、罰則にも留意しなければなりません。
不提出・虚偽記載に対しては、1年以下の懲役または50万円以下の罰金といった罰則が設けられています。
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なお、現行法での財産調書。
年間所得金額が2,000万円超の者は財産債務の明細書を確定申告の際に提出しておりますが、罰則がないことから、結果的に形骸化しています。
3.国外財産に関する調書の狙いと対応
年金制度に不安を感じている方も相当多く、キャピタルフライト(外界への資本逃避)が急激に増加していることが背景にあります。
数年前から課税庁もその実態を捕捉しているようです。
今後、海外財産についての配当や利子所得について捕捉されるでしょう。
また、海外財産5千万円超の基準も、いつものパターンで下がっていくことに留意すべきでしょう。
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4.まとめ
富裕層の財産保全の視点としては、カントリーリスクを勘案して、外貨で保有する。
そういう場合であっても、税務署へきちんとその財産残高を報告する。
