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人生の本舞台は常に将来にあり

4.人生の本舞台は常に将来にあり
1890年(明治23年)、最初の衆議院議員総選挙が実施された。尾崎行雄は、その年に33歳で立候補して当選した。以後、明治大正昭和戦後にかけて、大選挙区、中選挙区、小選挙区制を生き残って連続当選25回、議員勤続を60年続けた。 
尾崎行雄の揮毫(きごう)が、今国会議事堂の隣の憲政記念館に石碑で刻まれている。 
「人生の本舞台は常に将来にあり」尾崎行雄
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財団法人 尾崎行雄記念財団 http://www.ozakiyukio.or.jp/
「あとは野となれ山となれ」という気持は無く、もう明日死ぬかもしれない、死ぬと思っていながら常に将来のために備えなければいけない。
そんな祈りにも似た強烈な思い、「老成に安ぜず将来に目を向けねばならぬ」という自戒を込めて警句を作った。
厳しい時代であればあるほど、今だけがすべてではない、明日のために何ができるのかを考えて死んでいった。
厳しい時代こそ、チャレンジ精神をもって、日本の元気を取り戻そう!
以上
特別講演「日本の歩むべき道」 小泉純一郎 元内閣総理大臣 

自助の精神

3.自助の精神
明治期の知識人の間でベストセラーになった本がある。
この本を読んで明治の知識人は国を富ませるために頑張った。
先ずは、イギリスのスマイルズの『自助論』。
天は自ら助くる者を助く、セルフヘルプ。
いかなる時代にあろうと、どのような状況にあろうと、自ら助ける精神を持った人たち、この自助の精神がもっと大事だということを訴えている。
様々な具体論をあげて、自ら努力している人たちを応援している。
自らを助ける精神と自らを律する精神。
この二つほど大事なものは無いといっている。
次に、福沢諭吉の『学問のすすめ』。
かの有名な「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」のほかに、「一身の独立あって、一国の独立がある」と訴えている。
個人個人一人の独立があってこそ、一国の独立がある。
戦争が続いた厳しい明治時代に、個人の独立無くして一国の独立は無いといっている。
時は過ぎ、ケネディ大統領がアメリカの大統領に就任した。
アメリカ市民に向かって、「諸君は、国家が諸君に何をしてくれるかを問い給うな、諸君が国家のために何をなしうるか問い給え」と言っている。
しかし、同じことを今の日本の首相が言ったら『そんなこと言える資格はない!』と言われそうだ。
「国家のため」を会社や組織に置き換えると理解しやすい。
会社のために働いている人、社員のために働いている社長は信頼される。
同じく、アメリカのオバマ大統領の就任演説では、『今は責任の時代だ。自分への責任、国家への責任、国際社会への責任』が問われていると説いた。
明治時代も、50年前も、今も、困難な時代ほど自ら助ける精神が必要だ。
自ら助ける精神、自らを律する精神、自らやろうという気運がなければ日本の経済は発展しない。
厳しい時代だからこそ、自助と自立の精神を忘れてはいけない。 

「明治時代」から学ぶこと

2.「明治時代」から学ぶこと
「明治時代」と言えば、司馬遼太郎氏の『坂の上の雲』を連想する。
歴史から見て明治は良かったとか明治は立派だったといわれる。
小泉元首相は、明治時代に生きていた国民はつらい体験をしていたと言う。
明治の時代に生活していた人はどれほど苦労していたかということを忘れてはいけない。
戦争の連続であり、この時代に生きた人は本当に苦労が多かった。
社会保障も年金制度も医療保険も介護保険も失業保険も何にもない時代で、日本は戦争に勝ったけれども、国民は大変な苦労をした。
①戊辰戦争(明治元年~2年)
幕府を倒した時、江戸は無血開城ではあるが、明治維新を成し遂げるために、日本人同士が戦っている。
②西南戦争(明治10年)
明治政府ができたら、二人の盟友、西郷隆盛と大久保利通が戦い、西郷隆盛は敗れ、大久保利通はその翌年に暗殺された。
③日清戦争(明治27年~28年)
④日露戦争(明治37年~38年)
明治23年に議会制度が始まって間もなく、大国、中国とロシアと戦争を行う
そして、昭和時代。昭和恐慌から戦争にいたるまでの苦労。これは今の状況どころではない。多くの若人が亡くなっていった。
日本周辺の諸国、中国も朝鮮もロシアもアメリカも戦争を経験しているにも関わらず戦後60年、日本は戦争に巻き込まれずに平和の下に、成長をなすことができた。
これに感謝しなければいけない。
これからも戦争の無い日本、戦争を起こさないような対応、これがあらゆる政策を発展させるための一番大事な政治の要点だ。

小泉元首相 「日本の歩むべき道」

先日、下記の学会に参加させていただき、小泉元首相の「日本の歩むべき道」と題した講演を拝聴する。
東日本大震災後、世界が日本の復興に注目しており、不屈の精神でピンチをチャンスに変えなければならないと熱く語った。
≪第15回 日本医業経営コンサルタント学会東京大会≫
平成23年6月9日(木)10:30~11:30
ホテルイースト21東京
テーマ
未来からの投影~良質の医療を継続的に提供し得る医業経営のために~
—効率と満足へ 医業経営コンサルタントの挑戦
特別講演
「日本の歩むべき道」
小泉純一郎 元内閣総理大臣
1.脱原発について
東日本大震災。
津波が押し寄せてくる様子、車や家が目の前で押し流されていくライブ映像が、世界中に配信された。
福島第一原発事故の状況も毎日世界に向けて報道されている。
今回の原発事故が世界に与える影響は「津波」のライブ映像と同様に、世界の人々の原発に対する認識を大きく変えるだろう。
ドイツはいち早く原発の廃止を決定したが、日本においても新規の原発建設は、政治的に、住民の意識的に、非常に困難になったと思う。
1970年代のオイルショックを経験して、日本は原油依存度(当時は70%)を下げる努力を継続してきた。あれから40年経過した今日、エネルギーにおける原油依存度は40%まで下がった。
現在、原発に30%を依存しているが、今後はこれを下げる努力が始まる。原油依存度も増やさず、原子力依存度を下げるのだから、太陽や風力など自然エネルギーを効率的に利用する技術革新を長期間にわたって実施することになる。
1970年代において、原油依存度を低下させるなど不可能と思われた。「日本は終わる」と多くの専門家・政治家が予想した。しかし日本人は必死で努力を続けた。そして今や日本の省エネ技術は世界でもトップクラスだ。
原子力依存度を下げることは不可能と主張する人もいるが、それは1970年代に原油依存度を下げるなど不可能だと主張した人と同じだ。
最近、石油が暴騰したが、パニックにならなかった。これは石油ショックからまなんだ3つのことを実践したからだ。
①備蓄
②省エネ技術
③代替エネルギーの開発
日本はピンチをチャンスに変えるのが得意であり、これは今でも世界に誇っていい分野だ。
これまで常識だと思っていることにこだわってはいけない。
日本人は危機に際して大胆に変化を受け入れてきた。
明治維新において武士は刀を捨て、着物を背広に変え、戦後は天皇制を変え、国難を乗り越えてきた。
日本人は未来に生き残るために過去の常識を大胆に変える能力を持っている。
(続く)
予定
・長寿国ニッポン
・「明治時代」から学ぶこと
小泉元首相は、歴史をよく学んだからこそ、骨太の講演ができるのだと推察される。
近年まれにみる良い講演でした!
このような機会を頂いて感謝しております。

逃げる知恵「稲村の火」を消してはいけない

3.11の震災後、原発事故につき、想定外といえば、責任回避できるような姿勢はなんなのでしょう。
政治の話は、他力本願なので、極力避けてきた話題ですが。。。
危機対応のなさが、せっかく築きあげてきた日本の信用を失墜してきています。
先日、ORIXのゴルフコンペで、宮内会長の「今後の日本復興のポイント」を拝聴しました。
堤防などのハードウェアはもちろん大事なことですが、「逃げる知恵」という社会的ソフトウェアを大切にしないといけないとご教授いただきました。
20兆円出せば、災害は修復できますが、大事な人の命はかえってきません。
戦前の「修身」の教科書に、津波の襲来を村人に知らせるため、自分の畑の稲わらに火を放ち、警報を発して、村人の危機を救った人情庄屋の話が登場します。
江戸幕末にヤマサ醤油の基礎を固めた七代・濱口儀兵衛という人だそうです。
ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)は、身の危険や財産を顧みないこの行為に感動し、「仏陀の国の落穂拾い」という作品のなかで「A Living God(生ける神)」として紹介しています。
後に、中井常蔵がこれをベースに、「稲村の火」を書き、小学生の国語の本に記載されました。
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小泉純一郎元首相が海外の会議で、日本の災害対策について、こう言われたという。
「日本では小学校教科書に『稲むらの火』という話があって、子供の時から津波対策を教えているというが、事実か?」
小泉氏はその話を覚えていなかったので、文部科学省に照会したところ、だれも知らなかったという。
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日本には、先達者の素晴らしい知恵があり、海外からも尊敬されていた。
「稲村の火」を消してはいけない。

仕事に人をつける

「岳」が映画化されました。
私、名前を「岳二」と申します。
「岳」は、人間を愛し、山を愛する人々の感動の人間賛歌!
私を応援して頂いているようで、有り難く思っております。。。
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「仕事に人をつける」とは
多くの会計事務所は、人に仕事をつけている。結果的に、その人がいないと困る状態となる。そして、お客様も取引先も、その状態が困る。以前、船井財産コンサルタンツ研修で、ホッピィビバレッジの石渡美奈氏の講演を聴いた。「社長が変われば会社は変わる! ホッピー三代目、跡取り娘の体当たり経営改革」の著書の中で、仕事に人をつける意味につき、こうご教授頂いた。
(引用開始)
わが社のように小さな会社では、余剰人員を雇用することなど到底できない。けれど命ある人間だから何が起こるかわからない。「もしかして、朝、出社したら誰も来ないという有事がないとも限らない。その時に備えてどうしておけば良いのだろう。」
 実は、小山さん(武蔵野経営者)に出会う前の私は、いつも心の中でこの不安を抱えていた。 「人に仕事をつけてはいけない。仕事に人をつける」この教えを聞いたとき、私に走った衝撃を今でもよく覚えている。 「これだ・・・!」
 しかし、創業以来90年以上、人に仕事がつくこと、部門を聖域化することが当たり前の文化になっていたわが社で、いきなり「仕事に人をつけよう」と話しても、当然のことながら理解されるはずもなく、こと製造部門の人手不足問題では、しばし、製造部門の幹部と言い争っていた。 そんな彼らが、「人に仕事をつけていたら人員は幾らいても足りない。仕事に人をつける仕組みに変えていかなければ会社は利益を出せない」と気づいてくれたのは環境整備がきっかけだった。
(引用以上)
集団退職を経験している経営者や幹部の方ならば、「人に仕事をつける」状態の怖さを実感しているはずだ。「君がいなければ、困る。だから、辞めないでくれ!」と懇願し、そして拒絶される。
石渡氏が指摘しているとおり、部門を聖域化しているわけで、これは文化だ。
自分にしかできない仕事を日々量産していく。自分しか知らない情報を机にしまいこんでいく。この状況を打破することを「改革」という。改革は概して遅々として進まない。
なぜか。人に仕事をつけている場合、部下の進捗管理だけ判断の拠り所とし、現場に仕事をまかせきることができる。そして、何かあれば部下を叱ればよい。経営者や幹部は考える必要がないので、本音は現状維持のままが良い。
「人に仕事をつける」やり方を否定するのは、ツライ。(ツライから、役職がある)
ノウハウの文書化、データベース構築、情報の共有化(報連相の徹底)、など考えるべきことが山積みとなるからだ。将来入社するスタッフの雇用、会社の存続を考えれば、当然ながら、お客様、取引先、ノウハウなどすべての知的資産は、会社に帰属する。

幹部人事の要諦

中小機構北陸支部で窓口相談を担当しております。
下記の問題と回答は、ある日の相談を簡易的にまとめたものです。。。
「幹部人事の要諦」につき、考えてみました。
≪質問≫
現在、先代から経営を引き継いでいる後継者です。
今後、幹部を登用していきたいのですが、幹部人事の要諦につき、ご教授頂きたい。
≪回答≫
人に仕事をはりつけていると、その人がいなくなったり、その人の体力、気力、能力が衰えたら、利益が上がらなくなる。しかしながら、幹部の人事異動を行う際、会社と個人の幸せを勘案して、過去の恩を忘れることなく「最善の人事」を行う。
同じ仕事を同じ人が長期間行っているとき、主に二つの問題が生じるので、同じ人に同じお客様・取引先を長く担当させない。
1.人事を固定化すると組織がマンネリ化する。
5年目以降から、ここで何をすれば良いか、逆にここで手を抜いても大丈夫ということまで、すべて仕事の要領がわかる。担当幹部の成長が仕事のマンネリ化のために止まってしまうことに留意する。会社の成長が担当幹部の成長に依存してしまうことが最大の機会損失。マンネリ化があると判断した場合、幹部は兼務で別の仕事を担当して頂く。その際、会議では声の大きな幹部の意見が通る可能性があるので、意見は聞くが重要人事は社長決裁で判断する。
2.権威を張る人に仕事をつけた場合の将来リスク
「私を外すと、売上が下がりますよ」と将来、社長や役員を脅す幹部の出現の可能性があり、二頭政治などの大きな問題に発展する場合がある。
権力を持てば持つほど謙虚にならなければならない。お山の大将タイプや権威を張る幹部は、権力で部下を動かすことはできても、部下を活かして使うことはできない。性格的に傲岸なところが有る場合、専門職にして部下をつけないようにするないしは子会社の責任者にするなど本人の適材適所を考える。上級幹部ないし役員候補の日常の言動を注意深く観察するとともに、経営者の要諦を研修する必要がある。
「社長が判断すべき重要人事」東川鷹年先生(日本経営合理化協会)より一部引用。

税制改正法案が成立していない状況での改訂

第一法規株式会社から、「病院・医院経営管理質疑応答集」(財務編)を今年も平成23年度税制改正バージョンに修正します。
http://www.daiichihoki.co.jp/dh/product/604843.html
困ったことに、改正法案は、成立していません(汗)
成立を見込んで改訂します。。。
「医療用機器等の特別償却制度の見直し」の項目について、改正が見込まれています。
医療用機器等の特別償却制度については見直しの上、その適用期限が2年間延長されます。
◎高度・先進医療の医療機器
対象機器の範囲から心電図及び顕微鏡を除外し、特別償却率を14%から12%に引き下げられます。
◎医療の安全確保に資する機器
対象機器の範囲から、生体情報モニタ連動ナースコール制御機、注射薬自動払出機、医療情報読取照合装置及び特殊寝台を除外し、特別償却率を20%から16%に引き下げられます。
◎その他の措置
新型インフルエンザ対策に資する医療用機器、特定増改築施設、建替え病院用等建物に係る措置の除外。
平成23年度税制改正大綱90頁参照。

人の成長に向けた仕掛けづくり

中小機構北陸支部で窓口相談を担当しております。
下記の問題と回答は、ある日の相談を簡易的にまとめたものです。。。
「人の成長に関する仕組みづくり」につき、考えてみました。
≪質問≫
事業承継を1年後に控えている後継者です。
新体制の構築にあたり、どのような人事刷新をして問題解決すればよいでしょうか。
ご教授頂きたい。
≪回答≫
1.人の育成
創業者からの事業承継にあたり、資本と人の引き継ぎがあります。
資本について相続税の負担に留意すれば、引き継ぎは容易ですが、創業者に仕えた「分身」が後継者の「分身」となることは容易ではありません。人の引き継ぎは難しく、「人の成長に関する仕組み」を後継者自身が構築する必要性があります。
2.仕組みづくり
組織は個人の集合体です。個人の成長なしに組織の成長はありえませんが、個人の限界が組織の限界ではありません。
皆、仕事の中に三つの領域を持っています。
①成熟業務領域
十分にできている業務分野です。この分野は、自分の部下や後輩たちに引き継いでいくべき分野、又は効率化を進めていく領域です。
②中心業務
今、自分にとって一番大切な仕事・中心的な業務分野です。この分野は自分にしか出来ない領域であり、まだまだ改善していくべき領域です。
③未開拓業務
これからチャレンジするべき業務分野です。この分野を開拓していくことが、個人にとっての能力開発であり、上司・先輩から引き継いでいくべき領域です。
①~③を拡大することが、個人の能力アップの証であり、組織の成長の証です。
しかし、③未開拓業務領域を開拓するためには、①成熟業務領域を減らしていかなければなりません。
組織拡大には、上司が①成熟業務領域について部下を育成して任す必要があり、その余力で、③未開拓業務にチャレンジすることが「人の成長の仕掛けづくり」の基本的考え方です。