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医師の働き方改革と宿日直許可 2022

はじめに~「医師の働き方改革」

令和6年(2024年)4月にむけた「医師の働き方改革」もいよいよ佳境に入ってきた。

今年(2022年)の4月に開設される医療機関勤務環境評価センターの事業に関し、日本医師会が委託を受けるなど、具体的に動きだしている。

 

1.医師の勤務実態

ドクターの勤務実態を概観すると、他の職種と比して、副業が多いことがわかる。

大学病院常勤勤務医においては、9割以上が複数の医療機関で働いている。(大学病院以外では4割強の副業実態)

大学病院から民間病院へ医師を派遣する際、宿日直が派遣先の労働時間に該当するか否かが喫緊の課題となっている。

医療法では、医師を常駐しなければならないと規定している。

地域医療を守るという医師の崇高な理念のもと、宿日直は何の疑問もなく当たり前に行われてきた。

今回の医師の働き方改革にて、「医師の宿日直」についてメスが入る。

 

2.宿日直と労働時間

宿日直が時間外労働と認定された場合には、残業規制が遵守できない民間病院が多発(多額の時間外手当の支給で経営を圧迫)することから、「宿日直問題」がこの医師の働き方改革の目玉となっている。

昭和24年の「医師、看護婦等の宿直勤務について」は廃止され、令和元年「医師、看護師等の宿日直許可基準について」が新たに発出された。

昭和の時代に、宿日直許可をとっている病院は戦々恐々としている。

これまでは宿日直は寝ているだけという認識で労働時間として計算していなかった。

宿日直許可がある場合は、ドクターの宿日直は労働時間に該当しない。

宿日直許可がない場合は、寝ている時間も労働時間に該当する。

許可の有るなしで、残業規制に大いなる影響を与える。

この令和時代の基準にて果たして許可を得ることができるのだろうか。

許可次第では、派遣元の大学病院も医師の派遣を差し控えることも考えられる。

 

3.行政の判断と対応

労働局は、労働の実態に即して判断するとの姿勢は堅持しており、具体的事例が待たれるところである。(例えば、夜間が多忙な診療科目で分けるなど)

病院としても、労働局に聴きたいところではあるが、聴いて「ヤブヘビ」となることも避けたい。

こういう場合は、県にある「医療勤務環境改善支援センター」に相談を頂ければと思う。

行政が民間の経営に影響を与える。

経営だけではない、地域医療にも影響しかねない。

「宿日直問題」は、単なる行政の判断では済まされない大きな課題だ。

「石川県知事と金沢市長の選挙」<535>

谷本正憲知事が出馬せず、28年ぶりに新しい石川県知事を決める選挙は保守系3候補の激戦で、3月13日に投開票され当選したのは元文部科学相の馳浩氏だった。

有権者の投票率は61.82%に及び関心を呼んだ。

前回の知事選は39%だった。

保守系3氏の馳浩衆議院議員、山田修路参議院議員、山野之義金沢市長は公職を辞任しての立候補だった。

 

誰に票を入れたら良いのか迷う声が多かった。

 

金沢市長選挙は前副市長の村山卓氏が投票した。

知事選が2月24日告示で先行して始まっていたため、市長選の告示までは活動が制限され、新人5氏による選挙が7日告示で十分に認知されないまま1週間後の3月13日の知事選との同日投開票を迎える形になった。

 

谷本県政は旧自治省出身で役人の論理や流儀を超えることを良しとしない空気が流れていたと漏れ聞いた。

馳新石川県知事には役所の枠を超えた手腕に期待したい。

 

村山卓新金沢市長には歴史と伝統の重みがある金沢市政を願う。

 

県と金沢市のトップが同時に交代した。

馳新知事は政治歴が長いが行政歴な無いに等しく、村山新市長は行政歴は長いが政治歴はゼロである。

金沢市は、財政面を含めた県への依存度が小さく県との力関係は対等だという。

お互い補完し合って連携を深め石川県と金沢市を発展させて欲しい。

 

 

写真・・・石川県知事選挙と金沢市長選挙の北國新聞記事(3/14)。

人材育成 2022

2018年以降、当グループでは、新卒採用を加速しております。

日常業務一般方針書の第17条(職員採用の形態)によれば、「当社の職員は、原則として新卒者を採用する。この方針は、人生経験の純一性と理解力尊重の理念に出ずるものである」と規定されています。

事実、新卒者は、一人前になるには多大なる研修時間を要するものの、当グループの社風など基礎的なところもよく理解しているので、大いなる戦力となっていることを実感いたします。

 

専門的な知見の研修の他に人として成長もしてほしい。

そんな祈りにも似た願いから、精神的修養については、入社2年目までの方を対象に私が講師を担っております。

テキストは、「事業発展計画書」を用い、経営理念から方針に至るまで解説しています。

2018年入社組から取り組んでおります。

因果関係は不明ですが、2018年入社から離職率も極めて低く、離職率低下と人間修養については、僅かばかりの一翼を担っております。

 

2022年入社も4名。

4月1日から入社頂けます。

2021年入社5名を含めて9名。

今年も研修を企画しようと思います。

「ロシアのウクライナ侵攻」<534>

ロシアのウクライナ侵攻は最悪な戦争になっている。

これまでの経過を見ると。

 

2021.12.7

バイデン米大統領はロシアプーチン氏に対し、ウクライナを侵攻すれば「強力な経済措置」で対抗と警告。

 

2021.12.30

ロシア側の要請で開催。プーチン氏は経済制裁なら「欧米との関係が完全に断絶する」と主張。

 

2022.2.12

バイデン氏は侵攻なら「厳しい代償」と再警告。

 

2022.2.21

プーチン氏は親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の一部地域について独立を承認。

ウクライナのゼレンスキー大統領は反発。

 

2.22:

プーチン氏が派兵を命じ侵攻始まる。

 

2.25

ロシア軍がウクライナ首都キエフを包囲。

 

2.26

米欧がロシアの大手銀行を国際決済網SWIFTから排除。

 

3.1

バイデン大統領は一般教書演説で「プーチン氏はかってないほど世界から孤立している」と。

 

3.2

国連総会の40年ぶりの安保理で「最も強い言葉で遺憾の意を表す」とする決議を141カ国の賛成多数で可決。

ロシアとベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリアの5カ国が反対し、中国やインドなど35カ国は棄権した。

 

3.4

ウクライナ南部の欧州最大の原子力発電所をロシア軍が砲撃し占拠。

ウクライナには1986年に原子力事故を起こしたチェルノブイリ原子力発電所がある。

 

ロシアのウクライナ侵攻を受け、希少資源の調達懸念が世界規模で強まってきた。

半導体製造に不可欠なネオンの7割をウクライナに、自動車の主要部品に使うパラジウムの4割をロシアに依存する。

世界的な供給網が混乱している。

 

しかも、平和の祭典の2月2日~20日北京オリンピックや3月4日~13日北京パラリンピックの開催中に起きるなんて狂気の沙汰としか思えない。

 

日本にもロシア人やウクライナ人が生活している。

在日ロシア人は2016年で約9千人いて富山県が一番多い、在日ウクライナ人は2020年で1,800人、日本政府はウクライナ難民を受け入れる方針。

 

一般市民に罪は無い、政治の世界に被害を受ける市民の憤りはどこに向かえば良いのか。

 

リーダーは選ばれて集団の役割を任されているのであって、個人人格を評価してるのではなく組織人格での判断を期待されているのであって、判断を間違えれば必ず淘汰されることを思い知らねばならない。

 

 

写真・・・ロシアがウクライナの原子力発電所を占拠したと報道(3/4、NHK)

星野富弘さんの詩 2022

「命が いちばんだと思っていたころ 生きるのが苦しかった
いのちより 大切なものが あると知った日 生きているのが 嬉しかった」

という星野富弘さんの詩があります。

 

自社の儲けにのみ汲々としていると、とても息苦しくなります。自分のことばかり考えていると、どんどん後ろ向きになることがあります。

皆様もなんか調子悪いなという時は大概自分のこと(喜怒哀楽や自身の金勘定)を考えています。

ところが、他のために役立つことを考えると、明るく前向きになります。人に元気や勇気を与えるということは、自分自身が元気になることです。生きるエネルギーを頂けます。

「こいつはダメな奴だ」と当初思った方が徐々に頭角を現す。こんな感動や元気を与えてくれる場所は職場しかありません。

これからも人材育成していきたい。

「決断の心得」<533>

当社が朝礼で唱和している「職場の教養」、2/24のタイトルは「決断の時」~小さなことにも心を込めましょう~。

その心得は。

私たちは日常、大小問わず何かを判断しなければならないことがあります。

その際、損得や都合の良し悪しなどを考える一方、好き嫌いといった感情で判断する場合もあるでしょう。

京セラの創業者である稲森和夫氏は著書「心」の中で、「人生の様々な場面で、人として正しいかという行動規範を持つことが大切だ。」と述べています。

それは、自分に正直であること、人をだまさないこと、周囲への思いやりを大切にすることを、誰もが幼少の頃から教わってきたことです。

実際に稲森氏は、負債を抱えて経営破綻した大手航空会社の再建を任された際も、この基準を第一に貫き、また周囲に示し続けました。

その結果、それまで航空業界はまったくの門外漢であったにもかかわらず、僅か数年という期間で再上場を成し遂げたのです。

私たちも、会社や人生の命運を左右するような大事だけでなく、日常の小事にも、人としての正しさを忘れず時々の決断を下していきたいものです。

 

知識も大切ですが、モノの考え方が基本なんですね。

また、常識の上に教養があり、教養の上に専門的知識があることを肝に銘じております。

 

 

写真・・・22日、金沢は3時間に21センチの積雪を観測し、2月としては観測史上最多で2018年と並ぶ。

鞍月セントラルパーク(2/11)、雪のゴルフ練習場(2/20)

税務支援 2022

2月18日(金)、金沢市役所(ちょうど山野氏が金沢市長を退任した翌々日)にて、北陸税理士会が金沢国税局から公募方式を経て受託した「無料税務相談」事業に従事して参りました。

5年日誌を振り返ると、2019・2020年年の2月20日、そして今年と同じ場所で従事しております。

この無料相談会は、税理士会の税務支援の理念に立脚し、相互信頼の上に立って実施するものであり、税理士の社会的使命を果たすとともに、その実施を通じて国民の税理士制度に対する一層の理解を深めることを目的に、税理士が行う税務支援施策の一環として実施するものです。

上記のような有難い文章を噛みしめつつ、9時から17時まで従事して参りました。なお、当税理士法人の税理士4名中、私を含め3名が従事します。

 

申告相談の他、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用した代理送信業務もあり、日税連発行の電子証明書を利用して電子申告しています。

今回の9件の相談の中で7件を代理送信いたしました。

 

今回の相談の中でもありましたが、公的年金等の収入金額の合計金額が400万円以下でかつ、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合に該当し、所得税の確定申告を提出しないことを選択する場合があります。

所得税が納税の場合にも、紙による提出にて、上記の文章が記載されている定型のハンコを確定申告書に押し、市民税の申告のみを選択するのです。

年金受給者の方達には、上記に留意しなければなりません。

 

年金受給者の他には個人年金のある方や、医療費控除など給与所得者の方も相談に来られておりました。

来年(2023)も従事します。

「2021年の日本海国際交流センター」<532>

2月8日にNPO法人日本海国際交流センターの理事会がアルプ本社総合センターで開催された。

 

冒頭、古賀克巳理事長の挨拶があった後、中国の大連市人民対外友好協会、大連市中日友好協会からのビデオメッセージが映された。

 

議案審議は2021年暦年の事業と決算の報告ならびに事業計画と予算案が承認された。

監査報告は私から。

 

懇談では私からはコロナ禍の中小企業実態をお話した。

 

理事会の後、検査施設の見学会があり、臨床検査、病理検査、遺伝子検査、食品環境衛生検査の様子を見させていただいた。

新型コロナウイルスのPCR検査は24時間体制とのこと。

自動化されたオーダーメイド電子機器が設置されている。

検査所見学のあと、調剤薬局も見学。

調剤や検品の電子化も進んでいる。

また、見学者に対し社員の皆様が各所で一斉にお辞儀してくださり、アルプ社員のモラルの高さを感じた。

 

日進月歩する技術革新を目の当たりにしたひとときだった。

 

 

写真・・・日本海国際交流センター理事会の様子と記念誌「2001~2021ニイハオ!大連Part3~花咲く友好の絆~」の一部(2006年4月に北陸税理士会が大連市長を表敬訪問)

シャツとティンブル 2022

普段のシャツは、エストネーションで購入し、愛用しております。

東京に出張の折、必ず有楽町店に寄るようにし、白シャツをまとめ買いしております。

このシャツは、360度伸縮して、相当にストレッチが効いている。

そして、クリーニングの必要もなく、洗濯機で洗い、自然乾燥すれば、皴も何もない。

フィットも感もよく、優れものです。

そして、なぜかオーダーでもないのに、腕の長さもちょうど良いという不思議なご縁のあるシャツです。

以前、TKCの最高の洒落男である先生から、ボタンダウンはカジュアルすぎて止めたほうが良いとのアドバイスを受けて、スタンダードの襟の形にし、胸ポケットもないスタイルのシャツを着ております。

なお、クールビズ期間中などネクタイがない場合は、カッタウェイ(ブリティッシュワイド)、襟が水平の形のシャツを着ております。

 

ネクタイ着用の際は、必ずティンブル(真ん中の窪み)をつけるようにしています。

欧米とくにイタリアの洒落男の嗜みです。

最近、エストネーション有楽店の若い店員の方にレクチャー頂き、綺麗なティンブル作成のコツを教示頂きました。

 

シャツとネクタイ。

シンプルな空間の中の美意識を大切にしております。

京都大学での想い出 2022

2017年(平成29年)、京都大学で学ぶ機会を得た。

京都大学経営管理大学院・社会人養成講座である京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラムを履修した。

私は第一期生であり、現在の5期生を含めると100名以上の卒業生を有する。

そして、卒業生が中心となって組成する一般社団法人日本経営会計専門家協会(JIMAP)の理事も拝命しております。

 

コーチングも含めた管理会計のあらゆるカリキュラムを履修しましたが、京都大学の澤邊教授との邂逅が貴重な財産となりました。

教授の卓越した知性により、表現が難しいような事象も説明できてしまう。

事象の言語化という技術にただただ驚いておりました。

我々受講生のプレゼンテーションの後、教授からの講評を頂きます。

受講生の説明を抽象化し、また、具体化し、縦横無尽にあらゆる角度や視座で検討していく様は、なんと言いましょうか、知性の「ディズニーランド」と表現しても良いほど、一気に余興にまで昇華してしまう。

そして、この知性の余興は、京都大学の静謐としたキャンパスで行われるのですから、贅沢な時間でした。

 

研究者は、一見大人しい印象ですが、研究とは一種の「知性の格闘技」との印象を受けました。

論文を発表すれば、他の研究者からあらゆる角度や視座から疑義が発せられる。

ボクサーの如く、その見解に回答を繰り出していく様は格闘技そのものだ。

そして、実務家との共同作業で具体事例を研究し、また抽象的な法則なりに昇華していく。

 

この確定申告の慌ただしい時機、あの静謐とした京都大学で真の研究者との邂逅を懐かしく思い出した次第です。

 

余談ながら、急逝した七尾市にもご縁のある西村賢太氏に哀悼の意を表します。