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「新電力の課題」<544>

6/6のNHKニュース解説「時論公論」。

電気料金の引き下げを目指して進めてきた電力の小売自由化が壁にぶつかっている。

ロシアのウクライナ侵攻で天然ガスが高騰し、経営が悪化する小売業者が増えている。

 

かつて、電力は大手電力会社が発電・送配電・小売のすべてを担っていて、電気料金は燃料や送配電のコストを積み上げて算出していたため、コストダウンの意識が低く料金が下がりにくくなっていた。

 

1990年後半以降、三段階の制度改革を図ってきた。

発電には大工場など自家発電の独立発電事業者、小売には新規会社が参入し、大手電力会社と新規事業者の間で競争を生み出し料金の引き下げをねらうためだ。

 

問題になっているのが小売の「新電力」と呼ばれている新規参入会社だ。

 

2021年4月時点で706社が登録されていたが、2022年3月までの一年間で14社が倒産、17社が廃業撤退し2016年の小売自由化以来、最も多くなった。

 

原因は新電力の構造にある。

新電力は自ら発電機能を持たず、大手電力会社や独立発電事業者との相対契約または卸電力取引所から電気を調達してきた。

 

この度、天然ガスが10倍にも値上がりし、2022年3月には平均で26円/kWhと昨年の4倍以上になり、その後も、高止まり状態である。

 

そのため、安い料金を維持出来ず撤退や経営破綻に追い込まれているのである。

 

新電力の小売市場のシェアは2~3割程度。

事業者の撤退で15万7000件の契約者が他の事業者への切り替えを迫られるケースも。

 

大手電力会社に契約切り替えをする動きがあるが、大手電力会社は新規受け付けを停止している。

理由は追加の電気調達が必要となるが、自前の設備は発電量ギリギリで卸電力取引所から調整すると採算が見込まれない。

 

顧客は路頭に迷うが、制度上では送配電事業者が供給義務を負うが、新電力の経営悪化は顧客を不安定な状況においている。

 

政府は4月に新電力に対し、信用保証協会が債務保証する融資制度を開始した。

 

しかし、より求められるのは新電力の経営と電力供給の安定だ。

 

小売自由化制度開始前には

、新電力にも発電機能を義務づけるべきとの議論があったが新規参入をしやすくするため実現できなかったことが、高い電気を買わざるをえなくなり経営をぜい弱にしている要因だ。

 

経済産業省では新電力の経営体力の調査を開始し、新規参入事業者へは電気の安定供給に厳格な判断が求められるようだ。

 

課題として

1、相対取引で安定した価格で一定量調達義務づけ

2、価格の安い太陽光エネルギーを蓄電して夜間に供給し、市場価格の変動緩和を

 

資源を持たない日本に突き付けられた課題、適切な制度の見直しが求められる。

 

 

写真・・・井山裕太本因坊文裕が史上初で11連覇達成!(6/12)

自創経営研修 2022

私の使命は、木村経営グループの長期利益の実現であることから、2018年(平成30年)入社の方から、新人研修の講師を務めている。

多くの研修企画は、知識を新人には与えるが、グループの理念や知識は誰も教えてくれない。

対象は、9名。

2021年(令和3年)入社5名。

2022年(令和4年)入社4名。

研修を終えた後の楽しみが、受講者のレポートである。

すぐに私だけでなく全社員に対し、グループウェアによって共有される。

受講者9名のうち、K氏のレポートが秀逸であったので、その抜粋を引用したい。

 

「基本理念の“職場を自己修練、自己実現の場と心得”という部分から、職場をただ仕事をする場として捉えるのではなく、人生の目標や生き方を定め、それに必要な要素を吸収していく場でもあると考え業務にあたる必要性がある、と読み取りました。

その人生の目標や生き方が何かを考え、具体的にどう実践していくのかを可視化したものが曼荼羅シートやランクアップノートであると理解しました。
また、変革をもたらす“仕掛人”が欲しい、との社長のお言葉より、現状を正確に捉え、未来を見据えている人が変革を起こせ、その変革が良いものになるのかどうかは過去の知識の蓄積が大切であると感じました。

本日の研修の中で会社の歴史にも触れられ、少しでも良い変革が起こせる蓄積が出来たことを嬉しく思いました。」

 

今回も自創経営の本質、自らが主体となって変えていくことを繰り返し伝えました。

2021年入社の多くは、自身の予算を持つ、いわゆる「一人前」としてこの研修を今年で卒業することになるだろう。

来年(2023年)は受講しない。

その変わり、2023年入社の方がすでに2名決定しており、その方が入れ替わりにこの研修を受講する。

 

「人的資本」の開示 2022

1.「人的資本」に関するニュース

企業への情報開示の指針に、新たに「人的資本」に関連する項目が追加される。

人材育成や雇用における多様性の保証、福利厚生への取り組みなどの開示が義務付けられる。

人的資本とは人が生み出す知的財産などの無形資産を意味し、従業員の男女比や人種構成、離職率、人材育成への取り組み、報酬体系などが含まれる。

政府は新たに有価証券報告書にも盛り込むよう義務付ける方向だ。

 

2.従来の決算書における「人的資本」の開示

従来の決算書の「人的資本」は貸借対照表には表示されない。

かつて、ビルゲイツやスティーブジョブスの「脳」の価値が測れないという議論と同様の理屈だ。

とくに税務会計では、現金支出したものを資産とする取得原価主義に立脚していることから、将来価値を生み出すものはではなく、過去に現金支出したものしか資産とみなさない。

中小企業の付加価値の多くは、「人」という経営資源が源泉であり、「人」が最大の経営資源であるにもかかわらず、資産として計上されないことは、会計の限界であるとして、昔から議論されてきた。

最近、企業統治(ガバナンス)やESGの議論から、「人的資本」の開示が進むこととなった。

 

3.金融庁が示す「人的資本」の好事例

金融庁が示す「人的資本」の好事例の中に、株式会社丸井グループの取り組みがあり参考となる。

その中に、このような記述がある。

「人のお役に立ちたい」という想いを持つ社員こそが、企業価値創造の源泉であると確信し、多様な価値観の尊重はもちろん、一人ひとりがイキイキと成長し続けられる組織風土の醸成をめざし、積極的な人材育成と採用への投資を実施します。

株式会社丸井グループは、当社が取り組んでいる「自創経営」と同じく、社員自らが自主的に変えていく組織作りを目指しているようだ。

 

4.人こそすべて~感動経営

先日、当社の朝礼でバースデーカードをある方にお渡しした時、涙でコメントできないという事態が起こりました。

感動して泣いてしまったとのこと。

一人一人、時間を割いてバースデーカードに一言を書くことは手間です。

とくに繁忙期になると、正直面倒であり、書くのも一苦労。

社員の中にもこの慣例を止めようという方もいます。

しかしながら、この光景を見たとき、一人でもバースデーカードに感動する方がいる限り、この慣行は決してやめないと心に誓いました。

感動のある限り、経営は変にならないというのが私の持論です。

すべてが当たり前という状況では感動というものは決してなく、有難いという感謝の心が前提だからです。

「人的資本」という大樹には、「感動」という養分が必要であり、単に報酬という「水」を与えるだけでは決して足りない。

優しさや相互の思い遣りという「太陽」も必要だろう。

「人的資本」の開示に関し、感動の大切さを再確認した次第です。

「日本医業経営コンサルタント連盟、第1回定期総会」<543>

2021年6月9日の設立総会で発足した連盟が、本年3月で第1期が終わり5月27日に第1回の定期総会を迎えることが出来ました。

 

会場は東京都千代田区三番町の公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会会議室でハイブリッド式により行われた。

 

開会の会長挨拶

「(前略) 連盟の目的は、会員相互の連携の下、認定登録医業経営コンサルタントの社会的経済的な地位向上を図り、もって国民医療の発展に寄与するために必要な政治活動を行うことにあります。

とくに協会と連携し、医療・保健・介護・福祉に関わる政党や政治家と協働して、政策のシンクタンクとしての役割を担ってまいります。

これまで14名の政治家先生との連携を実現したとは言え、緒についたばかりでして、政策要望や会員の増強など課題が山積しております。

どうか今後とも絶大なるご協力をお願い申し上げます。(後略)」

 

この後の定期総会で四議案が上程され、賛成多数で全議案が承認可決された。

 

今は、直面する7月の参議院議員通常選挙に向けて推薦と政策要望を行っております。

 

 

写真・・・定期総会会場とオンライン出席。

「歎異抄(たんにしょう)ってなんだろう」<542>

アマゾンで高森顕徹監修の表題本が目に付き、取り寄せて読んだ。

 

「やがて死ぬのに、なぜ生きるのか。」

この人生の根源的な問いに答を示したのが歎異抄だ。

 

約700年前、親鸞聖人の教えを唯円という弟子が書いた書。

親鸞聖人の没後に教えと異なる解釈が言いふらされたのを正すため歎異抄と名付けられた。

 

登場人物を見る。

 

・釈迦(しゃか)

今から約2600年前、インドのカピラ城主浄飯王(じょうぼんおう)の長男、シッタルタ太子。

どんなに健康、財産、地位、名誉、才能に恵まれていても、所詮、老いと病と死によって、やがて見捨てられる時が来る。

どんな幸福も続かないことを知った太子は29歳の時に難行苦行に身を投じて6年、仏という無上の悟りを開かれた。

80歳で亡くなり、釈迦の弟子は7000巻に及ぶ「一切経」を書き残す。

 

・親鸞聖人(しんらんしょうにん)

約850年前(1173年)平安時代の末期に京都で藤原有範・吉光御前の子として生まれる。

幼くして父母に死別し、9歳の時に青蓮院(京都)に出家。

親鸞は、すべての人がかかる「死後が暗い心の病」を生きている時に完治できる法を説く。

 

・蓮如上人(れんにょしょうにん)

親鸞聖人の教えを、ひたすら伝えられた室町時代の僧侶。

「南無阿弥陀仏はたった六字だが、万人を無上の幸福にする無限の力がある」と。

 

司馬遼太郎が「無人島に1冊の本を持っていくとしたら歎異抄だ、13世紀の文章の最大の収穫の一つは親鸞の歎異抄にちがいない」と語っている。

 

西田幾多郎も東京が空襲に遭った際に「一切焼け失せても歎異抄が残ればよい」と伝えている。

 

 

 

写真・・・「なおき会」臨時総会。(5/21)

きんどん会 2022

経済活動が徐々に戻りつつあることを実感しております。

会食も増えて参りました。

先日は、久方ぶりに異業種交流会「きんどん会」に参加し、関係者にご挨拶致しました。

関係者とは、お客様の他、通っているスポーツクラブや仕立てて頂いている紳士服の代表者です。

その他に、会社社屋の別館を建築頂いた方もおります。

2003年の新年会を機に、お客様に紹介頂き、入会させて頂いた。

入会以来、ご縁が拡がり、改めてご縁に感謝する機会を得た。

きんどん会は、今年で30周年を迎え、今回は30周年記念式典であった。

2003年の新年会から、はや20年。

来月からの例会にも参加しようと思う。

ホームページ 2022

過日の幹部会議にて、当社のホームページが2つあるとの指摘があり、驚く。

聴けば、タウンページの広告サービスで、当社公式ホームページへのアクセスが増えるような仕組みの一つだという。

そのホームページはこちら。

木村経営グループ|金沢市|事業継承|相続 (kimura-keiei.com)

確かに、「金沢 税理士」などと検索すると、公式ホームページより、このサイトが出てくる。

 

当社には委員会制度があり、広報は広報委員会がその役割を担う。

2000年代のホームページについては私が作成していたものの、2020年代くらいになると、委員会主導で作成している。

委員会自治で結構なことだ。

 

組織は、変えていかないといけない。

人と同様、死に向かっている。

変えないと続かないと常に肝に銘じております。

「第77期本因坊戦第1局」<541>

本因坊文裕(32)=井山裕太九段=に一力遼棋聖(24)が挑戦する第77期本因坊決定戦七番勝負第一局が、5月10日~11日に金沢市の金渓閣(尾山神社)で開幕した。

文裕は前人未到の11連覇を目指す。

一方、初挑戦の一力は棋聖に続く3大タイトルの本因坊を狙う。

本因坊のほか、名人、王座、碁聖の4冠を保持する文裕と、序列1位の棋聖を持つ一力との対決はまさに「頂上決戦」で、今後の囲碁界のすう勢を占う注目のシリーズとなる。

 

本因坊戦は、石川県では2009年に辰ノ口温泉「まつさき」、2011年に粟津温泉「法師」で開催されたが、金沢市では初めての開催である。

 

金沢市には初代本因坊算砂が1617年(元和3年、58歳)に加賀藩の寄進で建立した本行寺(日蓮宗)が本多町にある。

本行寺は3度の火災で焼失し、現在の建物は1903年に再建されたもの。

 

算砂は大阪夏の陣による豊臣家滅亡の後、1615年(56歳)に加賀藩3代藩主前田利常の碁の指南役を3年間務め、本行寺を建立してから1617年に京都へ帰りました。

京都の寂光寺に墓所があります(享年65歳)。

 

9日に両対局者は本行寺を訪れた後、対局場を検分する。

 

私は碁盤を提供するため9日午前中に磐石を金渓閣へ搬入する。

10日の対局開始時には立会人として参席した(写真)。

 

対局は歴史に残る激闘で、終局時間は11日午後9時34分。

結果は本因坊文裕の黒番半目勝ち(コミ6目半)となった。

357手は本因坊戦史上最長手数(過去は2007年の343手)で「碁石が足りなくなるのではないか」と心配の声が出る。

(実際には白黒合わせて361個以上有り、盤上を埋めるだけあるので足りなくなることは無い。劫が重なって石が無くなった場合はアゲハマを同数交換すれば良い。)

控室の解説陣や記者からは「レベルの高い、ものすごい戦いだった」「こんな対局は見たことがない」との言葉が漏れた。

 

参加棋士は羽根直樹九段(立会人)の他、小林覚九段、高尾紳路九段、後藤俊午九段、山城宏九段、小県真樹九段、榊原史子六段、佃亜紀子六段と豪華な顔ぶれ。

 

大盤解説会は11日に金沢ニューグランドホテルで開催され、解説担当の山城宏九段に聞き手は佃優子石心席主(姉)と佃亜紀子六段(妹)の姉妹が登場した。

 

私は大盤解説会と打ち上げ会に参加したあと家に帰ったのは午前0時を回っていた。

 

 

写真・・・本因坊戦初日の対局開始時、左から7人目は私、左から9人目は前田家18代当主の前田利祐(としやす)氏。(5/10)

バースデーカード 2022

今年の5月、おかげさまで52歳の誕生日を迎えることになる。

思えば、遠くへ来たものだ。

会社の慣例として、全員からの寄せ書きスタイルの「バースデーカード」を頂く。

各人のコメントに個性が出て、毎年読むのが楽しみだ。

先日、朝礼時にこのカードを頂いた折、皆様にこう挨拶させて頂いた。

 

「52歳となりました。

皆様との信頼関係の構築なくして

事業の発展はないと思います。

日々の言動に留意して参ります」と。

 

私は、事業崩壊の原因は外部環境ではなく、内部環境にあると考えています。

経営者の傲慢さが、崩壊の原因と本気で考えています。

これからも、「下を見ろ。俺がいる。」との考えで、お客様からのクレーム対応から何から引き受けて参りたいと思います。

この度は、誠にありがとうございます。

「最高裁の相続税課税判決」<540>

4月24日の日本経済新聞「社説」を引用して考える。

 

高額なマンションを借金して買ったうえで、実勢価格より低い路線価で税務申告し、納める相続税を大幅に減らす。

このような節税策が認められるかどうかが争われた訴訟で、4月19日に最高裁が「税負担の公平に反する場合は節税対策は認められない」とする判決を出した。

相続に広く影響する判決として関心が集まり、裁判所が節税の範囲と公平性のバランスをどうとるかが焦点だった。

相続税の算定には通常、国税庁が公表する路線価が使われる。

ただ公表は年に一度だけで、実勢価格が一気に上がる場合などは実態から大きく乖離しやすい。

問題となった不動産も、購入価格が約13億円だったのに対し、路線価に基づく評価は約3億円だった。

借入も加味した申告納税額は「0円」。

国税側はこれが過度な節税に当たるとみて、資産価値を国税が独自に再鑑定できる例外規定を使って追徴課税した。

最高裁は、今回の事例は相続財産の価値を圧縮しすぎており、見過ごせない不公平だと判断した。

注目したいのは、勝訴した国税側にも、特定の人を狙い撃ちして例外規定を使うのは「合理的理由がない限り平等原則に反する」とした点だ。

納税者と国税の双方にくぎを刺したといえる。

この例外規定は適用基準が曖昧との批判が根強かった。

路線価が実態とずれている点も混乱の原因だ。

路線価以外の新たな物差しを考える必要もあろう。

公平で明快な課税は国の根幹である。

最高裁の指摘を踏まえ、国税当局は、納税者にとって透明性の高い相続課税の仕組みづくりを進めるべきだ。

 

「伝家の宝刀」とも呼ばれる「財産評価基本通達6項」が裁判ではその是非が問われた。

 

しかし、その公平性を担保する明確な規定づくりが難しいのが現実だ。

 

 

写真・・・囲碁フェスタで羽根彩夏プロ初段より指導いただく。(5/1)