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「地銀の非金融事業、なぜ拡大」<593>

10/17のNHK解説委員室で標題のテーマが解説されたので骨子を以下に列挙します。

 

・地銀が「何でも屋」に?

新たな役割への模索。

 

・人材の紹介、まちづくり、それに農業。

 

・2020年に広島市で設立された「ひろぎんホールディングス」は、ほかの銀行に先駆けて持ち株会社を作り、その後、非金融事業を営む3社を設立してグループ経営に乗り出しています。

そのうちの一つが人材紹介業で、首都圏で活躍する人材を紹介しているのが特徴です。

もう一つは国内外の大手ホテルに広島への進出を打診し、誘致に成功した後は銀行の取引先およそ100社とのマッチングを生み出し銀行の融資に繋げました。

 

ひろぎんホールディングスの部谷社長は「融資だけに頼った業務運営は限界に来ている。地域の課題を解決するための何でも屋という形にならないと将来がない」と話す。

 

全国一円に店舗網を持つのが都市銀行で4行あり、地方を経営基盤とする地銀は99ある。

 

地銀の経営環境は厳しさを増しており、地域経済も低迷し年々儲からなくなってきている。

 

その原因は・・

 

日銀の大規模な金融緩和で金利が低い状況が長年つづき、また、深刻なのは企業のカネ余りです。

 

バブル崩壊などの経験を経て、多くの企業が借金に頼らない傾向が強まっていて、地銀は貸出の競争で金利をさらに安くする悪循環に陥っているのが実態である。

 

金沢市の北國フィナンシャルホールディングスは、デジタル技術を生かして地域の生産性を高めるため、取引先へのITコンサルに加えて、キャッシュレスを推進しょうと、地域のデジタル通貨の導入を進めている。

 

松江市の山陰合同銀行は再生可能エネルギーの会社を設立し、脱炭素の取り組みを地域に根付かせようとしている。

 

山口フィナンシャルグループは、福利厚生を代行する会社を設立。

地元の飲食店や美容室などの割引サービスをアプリで提供。

また、地域の特産品を販売する商社や、耕作放棄地に特産品のわさびを作る農業法人を設立している。

 

ここに来て地銀の事業範囲が拡大している背景には2021年の銀行法の改正による規制緩和がある。

 

金融庁によると地銀グループが新ビジネスの会社を設立したのは8月時点で45に上る。

 

経験のない分野に進出することは地銀にとって負担であり、サービスを必要としていない取引先に利用を押し付ける懸念も指摘されている。

 

また、地域の企業と競合して仕事を奪ったり、新たに参入する可能性を摘んでしまったりすれば本末転倒になる。

 

何より新事業といっても、日頃から顧客の規制と信頼関係を築き、ニーズを把握することに努めていないと上手くいかない。

 

地銀の事業は手段であって、目的はあくまで取引先企業を発展させ、地域経済を活性化することである。

 

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虹あらわる。(10/21午後5時、ゴルフガーデン金沢にて)

「これからの社会保障政策について」<592>

 

9/15に、自由民主党厚生労働部会長・たばた裕明衆議院議員(50)の標題講演を聴講した。

田畑裕明先生は富山県第一区選挙区。

市議員、県議員を経て2012年に衆議院議員に初当選し、4期連続当選。

 

以下骨子を列挙する。

 

・創薬力強化に向けて、革新的な医薬品、医療機器、再生医療等製品の開発強化、研究開発型のビジネスモデルへの転換促進等を行う。

 

・総合的な認知症施策を進める中で、認知症治療の研究開発を推進する。

 

・急速な高齢化が見込まれる中で、医療機関の連携、介護サービス事業者の介護ロボット・ICT機器導入や協働化・大規模化、保有資産の状況なども踏まえた経営状況の見える化を推進した上で、賃上げや業務負担軽減が適切に図られるように取り組む。

 

・次期診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬の同時改定においては、物価高騰、賃金上昇、経営の状況、支え手が減少する中での人材確保の必要性、患者、利用者負担、保険料負担への影響を踏まえ、患者・利用者が必要なサービスが受けられるよう、必要な対応を行う。

 

・令和6年度厚生労働省予算

高齢化等に伴う自然増は5,200億円。

医療・介護におけるDXの推進。

医療品等のイノベーションの推進。

地域医療・介護の基盤強化の推進等。

健康づくり・予防・重症化予防、認知症施策の推進等。

感染症対策の推進・体制強化。

最低賃金・賃金の引き上げに向けた支援、非正規雇用労働者の処遇改善等。

リ・スキリング、労働移動の円滑化。

多様な人材の活躍と魅力ある職場づくり。

地域共生社会の実現等。

戦没者遺骨収集。

年金、被災地支援等。

 

・日本の合計特殊出生率の実績値1.30(2021年)は6年連続で低下しており、2020年の欧米5か国の出生率は日本を上回っている。

 

・日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)は、欧米5か国と比べて高く2020年は28.6%となっている。

 

・2022年の自殺者数は2万1,843人で836人増加した。

男性は13年ぶりに増加し女性は3年連続で増加。

 

・社会保障給付費は年々増加し、国内総生産の23.2%になっている。

その財源は保険料6割、公費4割。

 

・2022年度の日本の国民負担率は46.5%、財政赤字を含めると56.9%になる。

 

・令和3年(2021)年度の国民医療費は45兆円、うち後期高齢者医療費は17兆円(占率38%)になっている。

 

 

講演を聞いて、まさに医療介護費は国民的課題だと痛感した。

 

 

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1、「これからの社会保障政策について」のレジュメ(9/15)。

2、レジェンド・Mの会(MMPG)、静岡県伊東市の川奈ホテルゴルフで開催される(9/25~27)。

3、第28回碁苦楽会、長野県松本市の浅間温泉で開催される(10/3~5)

 

「”遊び”それは人類の可能性の宝庫」<591>

9/26のNHK・BS「ヒューマニエンス」を見た。

「遊び」は脳を鍛え、創造性や文化を生み出す。

さらには困難な状況を乗り越える力を育み、人類の助け合いになってきたという。

多くの研究者が「遊び」の可能性を探っている。

「遊び」が専門という研究者がいる。

人間とは「遊ぶヒト」=ホモ・ルーデンスなのか。

「遊び」から人間らしさの根源を探っているのだ。

遊びがヒトの多様な道具を生み出した原動力。

また、ヒトの集団を大きく育てるツールとなってきた。

オトナこそ学ばねばならない遊びの神髄であり可能性を妄想する。

 

地球全体を彩ってくれるのが遊び心。

 

行動・文化・ヒトの多様性につながっている。

 

いろいろな選択肢を得たことが地球上に繁栄するヒトの状況を作った。

 

無駄かもしれないし、食べられないかもしれない。

 

夢中で遊ぶんだとやっていくと、よけいな不安が浮かんでこない。

 

遊び経験が豊富な人は違う見方ができる。

スランプを考えなくなるとスランプを抜けられる。

 

遊びを取り入れることでクリエイティビティをあげ新しいことにトライしている。

 

遊びは不安を緩和したり、困難な場面から回復する。

遊びの力は困難な状況でも楽しさを見い出す力につながっていく。

 

遊び経験の豊かな人はレジリエンスが高い。

たいていの場合、何とかやっていける。

いったん計画を立てたら、それを最後までやり遂げる。

誰か他の人よりも自分自身をあてにすることができる。

物事に関心を持ち続けることは大切なことだ。

もし、そうせざるを得ないのなら、ひとりでやっていける。

人生で成し遂げてきたことに誇りを感じている。

たいていの場合、物事に対処する。

自分自身とうまく付き合っている。

 

遊戯性尺度(遊び心)

レジリエンス尺度(困難に遭遇したときの対応力、落ち込んだ後の回復力)

 

ストレスを乗り越え回復する力。

 

会社のみんなと飲みにいったりゴルフとかはコミュニティー全体の仲間意識をつくる。

ヒトは遊びを利用して絆を深めた。

 

チーム戦がヒトの集団を大きくした。

 

チーム対チームの遊びは動物界ではヒトのみ。

ヒトの社会では、同時に複数の人が同じ遊びを体験できる。

 

動物の遊びの基準。

1、機能的で無く見える

2、自由である

3、通常の行動の変化・誇張

4、何度もやる

5、ストレスのない状況で起こる

 

遊びによって集団を糊のように弱くつないで安定化させている。

 

「遊びの定義」

1、自由である

2、何らかの規則がある

3、無報酬で遂行されうる

 

 

これからも、遊びを大切にして行きたいものである。

 

 

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木村経営グループの第14回ゴルフコンペ・ゴルフ倶楽部金沢リンクスにて(10/1)

「認知機能検査」<590>

優良(ゴールド)・一般(軽微な違反1回)の運転免許の有効期間は、70歳未満が5年、70歳は4年、71歳以上は3年となっている。

新規取得者、初回更新者、違反運転者は3年。

 

70歳以上の運転免許証更新

者は高齢者講習を受けなければならない。

そのうち75歳以上は認知機能検査の受検も必要になる。

検査結果が35点以下の「認知症のおそれあり」と判断されると医師診断書の提出が必要で、認知症と診断されると免許更新ができなくなる。

また、75歳以上で過去3年間に一定の違反歴のある者は運転技能検査の受検が義務付けられ、合格しなければ更新できない。

 

私は22日に更新の認知機能検査を大徳自動車学校で受検した。

 

検査時間は30分。

 

・手がかり再生検査

16枚のイラスト(4種類ある)を見せられて記憶し、介入問題の後に記憶したイラストを回答する。

ユーチューブに解説があるので事前に勉強しておけば合格すると思う。

私も4種類×16枚=64枚のイラストを事前に記憶しておいた。

 

・時間の見当識

検査時における年月日、曜日、時間を回答。

 

高齢者講習(1時間)では講義と動体・夜間視力検査もある。

高齢者は動体・夜間視力は通常の3分の1に落ちるようだ。

夜間は速度を落とすことが肝心だ。

 

運転免許には自主返納制度があり、加齢に伴う身体機能の低下などで運転の継続を諦めたときに運転免許センターに届け出る。

 

2022年、日本の平均年齢は、なんと48.6歳でモナコ55.4歳に次いで世界第2位。

ドイツは47.8歳で3位。

 

日本の人口は世界で11番目に多いものの、人口増加率は最下位となっている。

 

少子化と高齢化の日本にあって、高齢者運転のあり方を考える必要がありそうだ。

 

 

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1、総務省の人口推計、10人に1人が80歳以上。

2、北陸初の日本シニアオープンゴルフ選手権が能登カントリークラブで開催。

16日~17日に観戦する。

 

「道路交通法の改正に注意」<589>

 

2023年4月1日施行

・レベル4に相当する運転者がいない状態での自動運転を行おうとする者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

 

・自動配送ロボットの交通方法等を指定。

 

・自転車の乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。

(石川県は今のところの着用率は20%で10位、全国は13%)

 

2020年6月30日施行

・あおり運転は罰則と免許の取り消し(違反点数25点、著しい場合は35点)。

 

2019年1月21日施行

・スマホ等の使用や画像注視で交通の危険を生じさせた場合は罰則と違反点数6点(免許停止)。

 

2022年5月13日施行

高齢運転者対策の充実、強化。

・75歳以上で「一定の違反歴」のある者は、運転免許更新時に運転技能検査を受検しなければならない。

 

・運転免許更新時

70歳~75歳は高齢者講習として講義、運転適性検査、実車指導を受けなければならない。

 

76歳以上は認知機能検査を受けなければならない。

 

基準違反行為とは・・・

1、信号無視

2、通行区分違反

3、通行帯違反等

4、速度違反

5、横断等禁止違反

6、踏切不停止等・遮断踏切立ち入り

7、交差点右左折方法違反等

8、交差点安全進行義務違反等

9、横断歩行者等妨害等

10、安全運転義務違反

11、携帯電話使用等

 

高齢者にとって道路交通法は厳しくなる一方で、安全運転に徹しなければならない。

 

 

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第54回北陸税理士政治連盟定期大会(9/15、ホテル金沢)。

総合司会は木村岳二副幹事長、議長は私。

「レカネマブで認知症治療は変わるのか?」<588>

アルツハイマー病の治療薬、レカネマブが厚生労働省専門家部会で承認され年内にも投与が可能となった。

認知症の患者は増え続け、2025年には700万人と65歳以上の5人に1人となる推計が出ている。

最も多いのがアルツハイマー病で記憶・思考能力など認知症全体の6割以上を占める。

レカネマブはアルツハイマー病の原因物質を取り除き、神経細胞の死滅を防ぎ症状の進行を遅らせる。

臨床試験では1年半で症状悪化を27%抑制できたとの結果が出ている。

症状の悪化を2~3年ほど遅らせるとしている。

 

アルツハイマー病は、

軽度認知障害・・・物忘れの増加など異変の自覚あるも日常生活に大きな影響はない。

軽度の認知症・・・症状は比較的軽いが生活に支障が出始める。

 

レカネマブは一度壊れた神経細胞は元に戻せないので、早期の投与が必要。

 

しかし、早期に脳脊髄髄液検査や画像検査を受ける患者は少なく、投与の対象は1%(数万人)ほどか。

 

今後は、治療薬の進歩と認知症の早期発見により早めの対処や家族の負担軽減につながることを期待したい。

 

 

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金沢リンクスに高級ホテルが建設されるとの北國新聞記事(8/30)

四士業勉強会 2023

2016年(平成28年)の新春の頃、他士業(弁護士、司法書士、税理士、社労士)の若手勉強会を企画した。

これが四士業勉強会の契機であり、私が北陸税理士会の窓口となった。

2016年4月に記念すべき第一回の勉強会があり、講師は弁護士の方。

講師は四士業の持ち回りとなり、税理士会側からの講師選定は難航を極める。

なぜなら、講師料金は無料だからだ。

仕方なく、講師を2回務めることとなる。

余談ながら、講義に使用したパワポは2回とも同じ(笑)。

同じ資料にも関わらず、話の中身は変えるという「紙芝居」にような説明であったと記憶する。

3回目の講師になることがほぼ確定した時に、ある提案を行う。

弁護士の方が講師となり、他の3士業に質問を投げかける今のスタイルが確立したのは、2019年(令和元年)の秋であった。

同時に、窓口責任者をT先生へと変更させていただき、一線を退いた。

 

四士業勉強会も8年目に突入し、今回も参加する。

今回は、被災者相談について。

閉会の挨拶では、「ノブリス・オブリージュ」というフランス語を紹介し、弁護士の講師の方の講演を聴きつつ、「高い社会的地位の有る方には、義務が伴う」というこの言葉を想起したと申し上げた。

懇親会では、他士業の先生方と交流し、得難い経験を頂いた。

自創経営研修3 2023

私の使命は、木村経営グループの長期利益の実現であることから、2018年(平成30年)入社の方から、新人研修の講師を務めております。

多くの研修企画は、知識を新人には与えるが、グループの理念は誰も教えてくれません。

対象は、8名。

2023年(令和5年)入社4名。

2022年(令和4年)入社4名。

研修を終えた後の楽しみが、受講者のレポート。

すぐに私だけでなく全社員に対し、グループウェアによって共有されます。

受講者8名のうち、2022年入社のMさんのレポートが秀逸であったので、その抜粋を引用したい。

 

本日は木村社長による自創経営研修に参加させていただきました。
冒頭に社長がおっしゃった、「頼まれごとは試されごと」という言葉が非常に心に残り、私自身、「試されている」という意識があまりなかったと気づかされました。

自分は常に試されているという意識を持ち、来期から生産高測定者になる身として、より一層責任感を持って業務に取り組もうと思います。「今はまだ拡大業務よりも既存の巡回監査の徹底を」というお言葉をいただき、焦って拡大のことばかり考えるのでなく、今の自分にできる最大のサービスを提供することを考え、業務に励んでいきたいです。

そのようにしてお客様との信頼関係を築き上げた上で、ニーズに合った提案ができるようになりたいと思いました。

今回で木村社長による自創経営研修が最後となりましたが、計6回の研修を通し、この会社の歴史や目指していく像を理解することができました。

また、社長からも様々な心強いお言葉もいただきました。今後、何かに迷ったり躓いたりした際には、自創経営で学んだことを思い出して、乗り越えていきたいです。

本日は研修に参加させていただき、ありがとうございます。

「介護離職増加10万人超」<587>

家族の介護と看護を理由に仕事を辞める人があとをたたない。

いわゆる介護離職が昨年10万6千人となり前年より再び増加した。

国は2015年に介護離職ゼロをかかげ、介護支援制度を創設し仕事と介護の両立を図ったが利用が進んでいない。

 

高齢化に伴い、介護しながら働く人が365万人と10年間で70万人以上増加した。

40代~60代がほとんどで働く人全体の5%を占める。

 

国の両立支援制度は・・・

 

1、介護休業は、93日間にわたり給料の3分の2の給付金を支給し、ケアマネと介護計画を相談・施設探しなどで両立する体制を整える。

ところが、昨年の利用率は1.6%と低調だった。

 

2、介護休暇は、通院の付き添いなどに家族1人の場合、年5日の休暇がとれる。

昨年の利用率は4.5%と低い。

 

3、短時間勤務制度(利用率2.3%)

残業免除・制限(利用率0.8%)

フレックス・時差出勤(利用率2.3%)

 

利用が進まない理由は?

 

介護休業を利用しない理由として勤務先に制度が整備されていないのが最も多い。

正規労働者の43%、有期契約労働者の37%がアンケートした結果。

しかし、この制度は国の法律で定めされており、社内規定がなくても労働者の権利として取得が可能であることを知るべきである。

 

会社は制度を規定するとともに、介護保険料を払う40歳時に周知を徹底する仕組みづくりが必要だ。

 

本年、カバー体制として休業社員の代替で人を雇うなどする中小企業への助成金制度を拡充した。

 

介護離職の理由として、施設に空きがないとか、介護事業所の職員不足で十分なサービスが受けられなく仕事を辞めざるを得なくなる。

介護保険サービスの充実も必要である。

 

 

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小森卓郎衆議院議員との意見交換会で「たくお通信」。(8/23、かなざわ石亭)

 

「太平洋戦争1943」<586>

8月15日終戦記念日のお盆には、必ずテレビで1941年~1945年の太平洋戦争の番組が放映される。

今年は今から80年前にあたる1943年に焦点をあてたNHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1943」を見て、1943年が戦局悪化が始まった年だったことを知る。

国家総力戦ながら敗北を重ねて戦力を消耗し市民の生活を一変させた日本の姿を映し出している。

この年に自分が生まれたのかと思うと胸が詰まる。

 

・それまで戦争から遠かっていた子供や若者までが戦争に巻き込まれて行く。

 

・学業半ばで銃をとることになった大学生には過酷な運命が待っていた。

 

・15歳~17歳の中学生3万人が甲種飛行予科練習生に名乗りを上げる(実際は割当ての志願競争)。

今、生存されていたら95歳97歳になられている。

 

・取材した親の日記には葛藤や戸惑いが記されている。

 

・母親に空襲があったら幼い子供と死ぬ覚悟の日記。

 

・アジアと太平洋の広大な地域を占領下に置いていたが、山本五十六連合艦隊司令長官の戦死(6月国葬)やアッツ島守備隊二千人の玉砕全滅(9月合同慰霊祭)により敗色濃くなる。

 

・「玉砕」、「鬼畜米英」「ヤンキー」(米国は日本をジャップと呼ぶ)、「一億火の玉」、「学徒出陣(10月)」、「撃ちてし止まん」、「殉国」、「報国」「大東亜共栄圈」、「一矢報いる」、「徴用」「銃後」、「軍属」、「八紘一宇」(世界を天皇の名の元に一つの国家にする)などの言葉が国民に浸透して死が美化される。

 

・志願しないと心の中で卑怯者扱い。

 

・ギルバー卜諸島タラワ島の戦い(10月~)。

日本軍4601人、米軍18600人。

日本は最後には飢餓と病気の中で幹部が脱出、兵士は自爆攻撃。

 

・1944年、サイパン島が陥落。敗色濃厚。

 

・1945年8月に広島と長崎に原爆投下。

 

・全戦没者310万人のうち1944年以降の戦没者は281万人にのぼり、91%が戦争末期に犠牲となっている

 

・1945年9月2日に日本はポツダム宣言に調印し降伏。

 

・結果、領土は拡大どころかロシアに北方領土を侵略されてしまう。

 

 

歴史は繰り返される。

現在も、2022年2月に開始されたロシア連邦によるウクライナへの全面進攻。

 

今は原子爆弾の脅威の中にあるが、人類は闘争本能を抑えず、この1万年間ずっと殺しあってきた。

 

それまでは、人間は友好的でお互いに助け合う存在だったが、文明ができてから人間は堕落したんだと哲学者ルソーは言う。

 

考えるべきは「どういう条件が整えば助け合える社会を作れるか」で、「自由の相互承認」を意識して人類が共存していくしかない。

 

 

(写真)

NHKスペシャル「新・ドキュメント太平洋戦争1943」。