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株式会社木村事業承継ブレーンへ商号変更

8月9日付けで、木村経営ブレーングループの子会社である「北陸エム・アンド・エーセンター」の商号を「木村事業承継ブレーン」へと変更致しました。(左の写真は、北國新聞社の8月9日朝刊記事抜粋です。)

日本経済が内包する事業承継問題に真っ向から取り組むため、商号変更を決意した次第です。

なお、株式会社日本M&Aセンターとの提携関係において、屋号として、「北陸エム・アンド・エーセンター」の名前は残ります。蛇足ながら、現在、会計人の組織である日本M&A協会の次世代会長を拝命しております。

 

管理会計の経済的価値研究プロジェクトの協力について

先日、京都大学経営管理大学院の澤邊教授、市原先生及び院生の方2名が弊社に上記タイトルの研究調査のため、来訪されました。

澤邊先生ご一行の調査の目的は,企業の成長や業績向上に管理会計がどれだけ貢献しているか,定量的に明らかにすることです。

「経営のために会計を利用している企業」は,「税務申告のためだけに会計を利用している企業」よりも,利益率や成長力が高いと考えられますが,それを実証した研究はありません。本調査はその端緒となることを目指しています。

この調査が,企業成長や業績改善への貢献という意味で管理会計の価値を明らかにすることにより,会計専門家による経営アドバイスの価値を客観的に証明することにもつながります。

ということで、京都大学経営管理大学院の「管理会計の経済的価値研究プロジェクト」につき、協力することと相成りました。

「税理士の主張」<369>

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7月27日に日本税理士会連合会の第61回定期総会が、また、当日11時から「顧問相談役・執行役員懇談会」が開催された。

 

相談役として出席してから10年目になる。

 

冒頭、神津信一会長から次期会長に無競争で再選されるとの挨拶があった。

 

私としても長いつきあいであり嬉しい限りである。

 

顧問相談役会議で取り上げられた議題の要点を列挙してみる。

 

Ⅰ、税制改正に関する重要建議項目(7月17日付の日本経済新聞参照)

 

1、消費税における単一税率及び請求書等保存方式の維持について

(1)、単一税率の維持

2年後の2019年10月に導入予定の軽減税率(複数税率)制度には反対する。

 

理由は…

 

①、区分経理等により事業者の事務負担が増加すること。

②、逆進性対策として非効率であること。

③、財政が毀損し社会保障給付が必要となる。

 

消費支出負担軽減策案としては…

 

①、プリペイドカードの配付。

②、簡素な給付措置。

 

(2)、請求書等保存方式の維持

 

6年後の2023年10月に導入予定の区分経理等のための適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス方式)への移行は、事業者及び税務官公署の事務に多大な影響を与えることから反対する。

 

請求書等に一定の記載事項を追加することにより区分経理等は十分可能である。

 

(3)、免税事業者への配慮等

 

免税事業者が取引から排除されることのないよう消費税法の抜本改正を。

 

2、所得控除の抜本的見直しについて

 

(1)、人的控除

 

課税最低限は生活保護の水準に合わすのが望ましい。

その際、給与所得控除及び公的年金等控除の水準が過大であることや、こうした所得計算上の控除が適用されない事業所得者等とのバランスも踏まえ、所得計算上の控除を縮減した上で、人的控除を中心として課税最低限を確保することが適切である。

 

(2)、税額控除化の検討

 

現行の所得控除方式は、適用税率の高い高所得者に有利な制度であることから、所得控除の一部については、すべての納税者が一定額まで同一の軽減効果が得られる税額控除方式又は一定の課税所得までのゼロ税率方式への変更を検討すべきである。

 

3、中小法人に対する繰越欠損金控除制限及び外形標準課税の不適用について

 

(1)、繰越欠損金の100%控除制度の維持

(2)、中小法人への外形標準課税の不適用

 

4、償却資産に係る固定資産税の抜本的見直しについて

 

国際競争力の観点から将来的には廃止を検討すべき。

 

5、個人事業者番号の導入について

 

法人番号と同様に運用上の制限が少ない「個人事業者番号」を導入し、その付番を選択的に受けられるようにする必要がある。

 

6、消費税…基準期間制度を廃止し、すべての事業者を課税事業者として取り扱い、新たに小規模事業者に対する申告不要制度を創設する。

 

 

Ⅱ、若者の税理士への関心を促す

 

税理士試験の受験者数は2010年に6万3千人いたが2016年には4万4千人(前年比3千人減)となっている。

 

過去6年間で受験者数が約2万人減少した。

 

減少理由は?…

 

1、収入面で食えない職業だと思われている。

収入面の魅力が無いと努力のしがいがないからか。

実際はそうでもないが。

平成13年に税理士法人制度ができ業界構造が変化している。

 

税理士試験に合格しても、すぐに開業は難しい環境になってきている。

 

 

2、少子化

 

国民の受験適齢期である20歳~30歳が減少すれば受験者数も減少する。

 

3、無気力な人の増加

安全な道を選んだり、ネットの普及で情報が多くなり平均化している。

 

4、競争の加熱

 

本年3月末の税理士数は76,311人、税理士法人5,203事務所(主従事務所合計)と増加しており過当競争になっている。

 

税理士の長命化、団塊の税務官公署職員の定年開業、公認会計士の税理士業務への参入も要因。

 

5、中小企業数が1999年に483万社だったのが、6年後の2014年には381万社と102万社も減少している。

 

税理士の顧客が減少して職業基盤が縮小している情況だ。

 

6、「IOT」や「AI」の発展で会計業務が無くなる?

 

 

7、将来は…会計事務所の労働環境悪化や安売りのブラック企業化、事業承継できず廃業、マイナンバーやインボイス制度などで曖昧を許さない環境で業務に魅力無くなる、税理士の高齢や病気、大手会計事務所による職員の独占、職員からITへの代替、企業が税理士を雇用する。

などなど…

 

 

8、対策…租税教育実施校学生向け職場見学会の実施。

 

Ⅲ、中小企業支援に関する施策について

 

1、経営者年齢は20年前が47歳であったのに対し、現在は66歳と20歳近く高齢化した。

70歳がリタイア年齢なら今後数年で多くの中小企業が事業承継の時期を迎えることになる。

 

2、日本政策金融公庫総合研究所が2016年に公表した調査によれば50%の企業が廃業を予定している。

廃業予定企業は従業員5人未満が83.3%を占めている

 

3、顧問税理士主導による事業承継を。

 

4、北陸税理士会では中小企業事業承継サイトを4月より提供開始しており業界から注目を集めている。

 

事業引き受けや事業引き継ぎを税理士がマッチングする役割が求められる。

 

 

写真…あさがお(千代女あさがおまつり、7/29)

平成29年度中央大学学員会石川県支部総会の開催

7月29日(土)、ホテル日航金沢にて、中央大学学員会石川県支部総会が開催されました。総会の参加者は96名。懇親会の参加は88名でした。最近、女性の参加者も増加しています。事務局長兼女性会員増員プロジェクト委員長としても、増員の成果に手応えを感じております。

 

同窓会組織は、若い人や女性が集まると活性化するという仮説のもと、これからも学員会(中央大学では、同窓会ではなく、こう呼ぶ)活動を通じて、検証していきたい思っています。

 

学術講演会の野村修也先生のテーマは「空き家問題の処方箋」。さすがの話術でした。そして、懇親会の挨拶は、学員会の久野会長。圧巻の迫力あるスピーチでした。久野会長は、二次会もお付き合いいただき、にし茶屋街「美音(みね)」へ。

 

初の御座敷太鼓「かいなかいな」にも挑戦。大太鼓(ドン)と小太鼓(ツク)を交互にリズムよく叩こうとするも、なかなかうまくいかない。金沢の文化を堪能して、総会後の夜は更けていくのでした。「ドンドン ツクツク ドン 。。。♪」

 

 

2018年 第45回TKC全国役員大会金沢開催

先日、高松で開催された第44回TKC全国役員大会において、来年(2018年)の金沢開催の紹介を致しました。藤井大会長と一緒に実行委員長を拝命致しました次第です。

来年は平成30年であり、おそらく平成最後の全国役員大会が金沢で行われることを心から嬉しく思っております。

2015年(平成27年)3月14日に北陸新幹線が金沢・東京間を2時間28分で繋いでから、日本全国、世界各国の方々が金沢を訪れ、今まで見たことがないような活況を呈しております。

会員の先生方におかれましては、来年の7月12日(木)13日(金)の金沢開催、前泊ないしは後泊も頂き、時間もお金も使って頂くことを、金沢市長に成り代わりましてお願い申し上げます。心から歓迎申し上げます。

このような歓迎スピーチを致しました。その後、高松開催で尽力頂いた秋山実行委員長と壇上にて握手をし、檀上を去ったのでした。

「感動の小説、『シロガミ』」<368>

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先日、著者「福い行介」こと坂井浩介氏から小説「シロガミ」を贈呈いただいた。

 

MMPG(医療福祉経営指導の専門家集団)の役員で大学・大学院の非常勤講師でもある坂井氏は作家の素養があり2年半にわたり「高齢者住宅新聞」に連載していたものを加筆した小説だ。

 

坂井氏とは30年前から存じ上げていて酒も酌み交わした仲だ。

 

小説の原稿を書いているとは聞いていたが、このたびの初出版は喜ばしい限りだ。

 

発行元は高齢者住宅新聞社。

 

 

社会保障が破談した日本を描いた近未来小説で、今から70年余り前、「アカガミ」によって若者が命を国にささげた。

そして今から50年後、「シロガミ」によって、高齢者が命をささげる時代を描いたものだ。

坂井氏は訴える。

 

「救える命は救い、死にゆく命には尊厳を!」

その線引きは難しい。

医療はそんな単純に割り切れるものではないが、しかし議論を先送りするといつかは行き詰まる。

 

氏は「医療の引き際」について考える。

 

すでに安楽死法が制定されている国がある中で、我が国においては今もって尊厳死すら法制化されていない。

 

人が死ぬ確率は百パーセントであるにもかかわらず、年間130万人以上の人が亡くなっているにもかかわらず、その在り方の議論が定まらない。

 

主体たる患者の存在を無視した中での「医学と疾病の対峙」があるからに他ならないと。

高齢化が今後一段と進む中で日本の医療制度はやがて財政的に限界を迎える。

 

2015年の人口は12,700万人だが、2060年には8,700万人と30パーセント減少。

2100年には4,000万人と3分の1になるとの推測もある。

 

小説の舞台は2061年と今から約50年後で、問題を先送りする政治・行政・現世利益をむさぼる世の中への警告である。

 

今こそ私たちはタブーを乗り越え、悲惨な死を迎えないためにも人生最後の在り方について真剣に議論すべきと訴えている。

 

 

18日に105歳の医師、日野原重明さんが死去した。

 

著書の「生きかた上手」はベストセラーになった。

 

人は最期に、出来るだけ「美しく人生の幕をとじる」ことができるかだと思う。

 

感動の小説『シロガミ』、是非ご一読ください。

 

 

写真…小説「シロガミ」

「経営会計士」をこどもがなりたい職業上位にするには?

7グループ(G7)に分かれて、「経営会計士をこどもがなりたい職業上位にするには?」というテーマでブレインストーミングにて議論を出し合い、KJ法にて分類し、意見をまとめました。

澤邊教授のコメント「リッチなアイデアと魅力的なパフォーマー」は、私の大事な宝物となりました。余談ながら、前日のキックオフ懇親会時の挨拶で思わず口にした言葉が受講生の反応が頗る良く、その言葉「Change the world」と「翻って」が京都大学EMBAの流行語大賞(創設を仮定)にエントリーされれば個人的には嬉しいです。以下、発表内容について記述致します。

 

「経営会計士」をこどもがなりたい職業上位にするには?

 

はじめに~現状分析

コンサルティング会社の現状を俯瞰すると、大手監査法人・マッキンゼーやボストンコンサルティングは一部の大企業を対象としている。これらの会社の特徴は、全世界のネットワークを有している。全世界を飛び回るイメージは子供にとっては憧れである。また、上場しているタナベ経営や船井総研などは、客層の対象を年商30億円以上としている。

小規模な会計事務所を含む集団である経営会計士の対象はどうするか。スタートアップ企業から成熟企業まで対象とする。

 

Ⅰ 現在のポジショニング

待遇を縦軸、社会貢献を横軸とすれば、現状は、高待遇ないしは低待遇・低社会貢献のポジショニングである。子供が憧れる職業となるには、高待遇及び高社会貢献の状態を目指す。

 

Ⅱ バランススコアカードのフレームワーク

 

1.待遇の視点

子供が憧れる待遇の具体化として、以下の状態が挙げられる。シンボルとして、高い報酬、綺麗なオフィス、美人秘書、自由な時間配分など。

この状態を実現するには、顧客数の拡大(ドラッカー「顧客の創造」)、時間チャージアップの増加、ノウハウ経験の蓄積(経験曲線)、優秀なスタッフの確保、スタッフのスキルアップが必要。

経営会計士のポートフォリオ戦略をどうするか。資源配分は、マーケットシェアが高くかつ、成長性の高いところに重点的に投入する。

 

2.クライアントの視点

顧客ロイヤルティーを実現するには、どうすれば良いか。クライントの視点からいえば、総合医、軍師(参謀)の機能を有し、業績アップに貢献することを期待している。ブランドイメージがあれば安心である。ペットボトルのラベルのような安心感を与えることができれば成功である。

 

3.自己実現(キャリアアップ)の視点

創造的な仕事、独立不偏な立場、世界でも通用する仕事、知識欲を満たすにはどうすれば良いか。良いお客様、社長との出逢いがきっかけとなるだろう。(「巨象を捕まえろ!―ターゲットは「大企業」小さな会社の社長、営業マンのための法人営業術」スティーヴ・カプラン 著 参照)。キャリアアップには自身の継続学習が前提となる。

 

4.学習と成長の視点(内部組織学習)

組織として何を学習していくのか。業績向上のための説得力の向上、業績向上のための指導力の向上、経営者・スタッフとのコミュニケーションの向上。「提案力企画コンテストの実施」

 

5.社会と企業への貢献の視点

企業貢献により、社会へのインフラとなる。経営会計士が水道・ガス・電気のようなインフラとなる。その時、世界が変わる。子供が経営会計士を誇りに思う瞬間となる。

「大野弁吉、奇妙キテレツからくりの館」<367>

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7月1日に自宅近くの金沢港大野にある「からくり記念館」を見学する。

 

この記念館は幕末の科学技術者、大野弁吉を中心とした「からくり世界」と、その人物背景や才能、人脈や活躍ぶり、彼の著述の中に見る技術等をパネルや実物資料で紹介している。

 

大野弁吉(1801~1870…216年前で徳川家斉の時代、十返舎一九が東海道中膝栗毛を出版した頃に生まれる。)の本名は中村屋弁吉という。

 

京都五条通り羽細工師の子として生まれ、20歳のころ長崎に行き理化学、医学、天文、暦教、鉱山、写真、航海学を習得した後、突然、対馬に赴き朝鮮にも渡ったといわれています。

 

帰国後、京都に帰り中村屋八右衛門の長女うた(加賀国大野村生まれ)の婿となり、1831年(天保2年)石川郡大野村(現金沢市大野町)に来て永住しました。

 

金石の回船問屋「銭屋五兵衛」の助言者となり、藩主が弁吉の博学を聞き20人扶持で召し抱えようとしましたが、それに応じず、生涯清貧のうちに過ごしました。

 

当時としては最先端の科学知識を駆使した発明品の数々は、東芝の創業者で「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重の技術に匹敵するといわれています。

 

また、一東、鶴寿軒と号し木彫り、ガラス細工、塗り物、蒔絵などのほか、からくり人形には優れた名作を多く残しました。

 

弁吉自筆の「一東視窮録」は彼の覚え書き綴りで、科学機器エレキテルボルダ式パイルなどの図解、色ガラス、火薬、写真噐、大砲、医療薬品などの製法、調合、寸法などが記述されている。

 

からくり時計やからくり芝居も見物できる。

 

訪れたときは子供連れ家族が多く、木製からくりパズルなどで遊んでいた。

 

小さな子供のいる方は、お子さんを「からくり記念館」に遊びに連れて行かれたら、感性を育む格好な場所だと思う。

 

また、最近は金沢港に大型観光クルーズ船が多く寄港するようになっているので、銭屋五兵衛記念館とともに近隣観光スポットになることだろう。

 

 

写真…ききょう(7/6鞍月)

京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラム 2017

今年の初旬から、京都大学上級経営会計専門家(EMBA)プログラムの企画に携わり、今回、受講生として、プログラムを受講することとなりました。

2016年10月、日本エムアンドエーセンター主催の日本エムアンドエー協会にて、京都大学大学院の澤邉先生の講演を拝聴する機会がありました。今後の会計業界のブルーオーシャンは、医学の世界に大いなるヒントがあるとご教示頂き、このプログラムの参加を決意した次第です。

 

お客様の中にはドクターもいらっしゃり、ドクターとの雑談の中でも、医学の世界は、研究者・臨床家・専門知識の再生産機能がしっかり働いているとの認識がありました。事実、医学(理論)を学んだドクターが医業の現場で治療・研究を行い、それを学会で発表し、その学会研究でさらに発展している現状があります。医学で社会貢献をしており、人命を救うことが社会的使命となっています。また、ドクターも誇りを持って治療にあたっております。

医学の世界は、抽象(医学、理論)と具象(治療)を高速で行き来し、その交差点が学会という場所になっています。学会は、知識統合の場として、きちんと機能しています。一方、会計の世界の現状は、抽象(会計理論)と具象(会計実務)の行き来はなく、互いに独立しているように感じます。会計実務は、金融庁主管の公認会計士及び財務省(国税庁)主管の税理士など、省庁別の縦割り行政となっています。また、私自身、学会の現状は知らず、月に一回届く会計専門誌(例えば、税経通信など)を時間があれば読む程度です。

今回のプログラム参加を機に、会計業界の更なる発展のため、医学の世界で頻繁に行われている学会という場、機会を創出できればと思います。最新の理論を学んだ会計人、EMBAプログラムを受講した「経営会計士」が主体となり、企業経営の現場で実践を行い、コンサルティングによる成果を学会の場で発表する。学会を理論と実務が行き来する連結環、知識統合の場所にする。会計と経営の成果には大いなる因果関係があるということを学会で証明し、実務に還元していく。そして、「経営会計士」を社会に周知できればと思います。

 

国家資格を主とする行政の世界と最新理論を研究する学会の世界の連結環(学会)にて、コンサルティング成果を共有し、中小企業経営者に周知できれば、そこに経営会計士の世界が出現します。現在、国家資格を目指す若者の減少(若者自体が減少)、また業界を目指す者の減少(採用難)により、会計事務所の長期的発展が危ぶまれています。国家資格でもコンサルタントでもない「経営会計士」が会計業界の希望となるよう、努力していきます。

「海の百万石~銭屋五兵衛~」<366>

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「銭屋五兵衛記念館」は金沢市金石本町で平成9年7月に開館している。

 

私の自宅から車で9分で行けるのに、7月1日に初めて訪れる。

 

移築された五兵衛生家の蔵も見られ、近くに「大野湊神社」もある。

 

「銭屋五兵衛の人物像」

銭屋五兵衛は安永2年(1773年…244年前)に加賀国宮腰(現在の金沢市金石町)に生まれる。

 

六代前の初代銭屋吉右衛門から両替商を営み、屋号を銭屋と称していた。

五兵衛は七代。

 

 

私の先祖の名前にも吉左衛門・忠右衛門・忠兵衛があり、五兵衛と生きた世代は同じだ。

 

祖父から五兵衛を名乗り、父弥吉郎(六代五兵衛)の時には金融業、醤油醸造業の傍ら一時海運業を営んでいた。

 

17歳で家督を継いだ五兵衛は新たに呉服、古着商、材木商、海産物、米穀問屋なども営むが北前船を使って海運業に本格的に乗り出すのは、50歳代後半からでその後、約20年間に江戸時代を代表する海運業者となる。

交易先は、ロシア・サハリン・朝鮮半島・イギリス商船(沖永良部島で)・ルソン・シャム・オーストラリア・北アメリカと凄い。

 

日本では北海道礼文島に銭屋五兵衛の碑がある。

 

だが、江戸時代の時であり、密貿易を加賀藩は黙許していた。

 

加賀藩からは銀仲棟取(ぎんずわいとうどり)問屋職、諸算用聞上役(しょさんようききあげやく)を仰せ付かり、藩の金融経済に貢献した。

 

晩年は河北潟干拓事業に着手するが死魚中毒事故にかこつけた加賀藩の黒羽織党と称する長連弘一派の中傷による無実の罪で嘉永5年(1852年)11月21日獄中で80歳の生涯を終えた。

 

その子の要蔵らも磔(はりつけ)に処せられた。

 

そして加賀藩は銭屋家の財産を没収し家名断絶とした。

 

五兵衛を支えた加賀藩重役の奥村栄美が亡くなり、幕府の鎖国に反することを恐れる勢力の台頭で運命が変わったようだ。

 

銭屋五兵衛が獄中で書いた直筆遺言書が記念館で見られる。

必見だ。

 

五兵衛が牢死した前年(1851年)にジョン万次郎がアメリカから帰国し、翌年(1853年)にペリーが来航している。

さらに1854年には開国(日米和親条約調印)になるとは……。

 

 

また、銭屋五兵衛家旧蔵仏壇も展示されている。

この仏壇は規格では最大級の物とされ、漆や蒔絵には金沢仏壇の技法が見られる。

この仏壇の扉には指物師としても活躍した大野弁吉が施した「囲碁の対局」の彫刻があり、盤上の布石まで読み取ることができる。

 

五兵衛が49歳(1821年)のとき3か月間かけて、信濃を通り江戸見物し東海道を経て旅した記録「東巡紀行」には途中、私の生まれた市振も記述があり嬉しかった。

 

また、記念館で嬉しかったのは、私一人しかいないのにビデオ放映の前に説明をしていただいた案内の方の姿勢だ。

歯切れが良く、美声で長い説明を流暢にしていただく。

ありがたかった。

 

やはり人に対する姿勢が感動を生む。

 

このブログをきっかけに「銭屋五兵衛記念館」に一人でも多く訪れていただきたいと思う。

五兵衛の生きざまを通し、人間は生きてる間は、妬み嫉みエゴの中でうごめいているのかも知れない。

 

歴史から学べば人生は彩られる。

 

 

写真…ギボウシ(上の花の右にトンボが止まってるの分かりますか。自宅7/2)