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なぜ、帳簿が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)

なぜ、帳簿が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)
日本は、法治国家であり、商売を営む250万社以上の社長、約200万社の個人事業者すべてに帳簿の作成を義務づけている。
徴税の視点(青色申告)ではなく、帳簿記入の出発点は、商法である。
商法(商業帳簿)
第19条
1.商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
2.商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。
3.商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。
4.裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。
≪商法のルーツは破産防止法≫
学生の頃、商法の立法趣旨は、債権者保護とご教授いただいた。
債権者とは企業にお金を貸し付けている金融機関のことであり、彼らを保護するということは、会社を倒産させないことと同義である。
倒産企業の特徴は、帳簿の作成がいい加減であることに着眼したのは、1673年のフランスであった。
当時、現在の日本と同様、大不況であり、企業倒産、自殺、夜逃げが横行していた。
そこで、ルイ14世は、重商主義で有名な大蔵大臣のコルベールに破産防止のための政策立案を求めた。
この商法典の目玉は、すべての商人に決算書作成を義務づけたこと。
1673年の日本は、江戸時代。
例えば、江戸商人にこのルールを遵守させるにはどうしたよいか。
強烈な罰則ペナルティーを用意するしかない。
そこで、この法典は「破産時に決算書を裁判所に提示できなかった者はギロチン刑に処す」という罰則を用意した。
世界史上、初めて死刑担保の「正規の簿記の原則」が確立された法律。
現在、日本でこの法律を施行すると、経営者の首が転がるのではないだろうか。
なぜならば、適時に帳簿を付けなければ処刑されるのだから。
日々、帳簿を作成している会社と、年に2回ほどまとめて記帳している会社の証拠性、どちらが高いか判然としている。
仮に破産した時に、帳簿をきちんとつけていれば、なんとか処刑は免れる。
日本の金融機関も、担保主義という時代錯誤から脱却し、決算書担保の本質を知って頂きたい。
≪1673年フランス・ルイ14世商事王令≫
第 11 章「破産及び破産犯罪」
第 11 条 卸売並びに小売を行う大商人、普通商人及び銀行業者は、破産時に、本王令において命令したごとき署名、略署を受けた記録及び日記帳を提示しないときは、詐欺破産者とみなされうる。
第 12 条
詐欺破産者は、特別訴訟手続によって訴追され、死刑に処せられる。
≪明治23年日本商法の基礎となった1861 年一般ドイツ商法典制定の草案≫
① 1838 ∼ 1839 年ヴュルテンベルク王国の商法典草案:理由書
商業帳簿は文書の側面があり、他の人々に対する証拠資料として用いられ得る。他の側面は、商人にその業務の状況に関する一目瞭然性を提供する補助資料であることである。フランス商法の理由書が述べるように、その正規の簿記は几帳面さとまともさを証言し、かつ、運命の神の変動に対する防御に役立つ。無秩序な簿記は破産者の特徴である。それが商業帳簿の重要性とその正規な記帳の必然性の理由である
②1849 年4月のドイツ帝国司法省の一般商法典草案」:理由書≫
正規の商業帳簿の備え付けは、一般的な商慣習並びにすべての商法典によって定められている。その備え付けによって、商人は、正規にその業務を進め、忘却あるいは思い違いによって、自らが損害を被ったり他人に損害を与えず、その個々の事業の成り行きと結果を見通し、かつ、合法性と賢明性という規範に従って従来のやり方を継続すべきか否か、あるいは会社経営に変更を加える必要があるか否か、収支を均衡させる必要があるか否か、さらには業務を中止する必要があるか否かを判断することができるように、規則的に繰り返しやってくる特定の時点で少なくとも一度はその業務のすべての状況を観察するようになる。
商取引において不可欠な信用を置く場合、並びに不注意による倒産あるいは偽装倒産によって信用を悪用する可能性がある場合、単に個々の商人の利益ではなく、世間一般の利益のために正規の商業帳簿の備え付けが必要となる。
二つ目の必要性を提示すれば、商事事件の係争時に、正規に備え付けられた商業帳簿への記帳が事情によっては非常に重要な証拠要素と見なされるという、事物の本性にある

誰のために会計が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)

税理士試験で財務諸表論を初めて学んだ時、財務会計は、利害関係者のために適正な期間損益計算を行うことを目的としているとご教授いただいた。
事実、アメリカの財務会計は、投資家と債権者などの意志決定のためにあるとしている。
では、利害関係者のない個人事業主に会計は必要ではないのか。
否。
経営者自身に報告することが会計の本質である。
TKC前武田会長もアメリカの会計制度は投資家至上主義であり、中小企業の属性を顧慮していないと喝破している。
ルイ14世商事王令の策定関わったサヴァリーの言葉
「資産、負債について作成する財産目録によって、自己の営業状況が芳しくない事を知るに至った人たちは、そのような状況を知らない場合に比して、はるかに容易に対応策をとりうることもまた本当である。
会社を結成していないから、いかなる財産目録も作成するには及ばないという人たちがいたなら、馬鹿げてはいないだろうか、・・・整理、調整するために、自分自身に説明し報告することが義務づけられていないだろうか。
このようなことを無視して生きていくことは、全く思慮を欠くことだといえないだろうか」
ドイツの高名な会計学者レフソン
「法が外部報告義務のない個人商人に対して年度決算書の作成義務を課しているのは、法が破産に対する商人自身の保護と債権者の保護を指向して自己報告を明らかに望んだことの証拠であり、このことフランス商事王令コンメンタール『完全な商人』において指摘されている」と指摘している。
経済産業省「経営計画策定支援」の基本概念
①記帳の目的が「自己報告」であることを経営者に意識づけること
②「自己報告」が経営計画のもととなることを経営者に意識づけること
③経営計画を策定し、事業を拡大するためには、信頼性ある決算書が必要であることを経営者に意識づけること
(経済産業省HPより 「経営計画策定支援」)
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/ji2005_01_5.pdf
参考文献 
「会計で会社を強くする」坂本孝司 TKC出版 2008年8月

会計で会社を強くする

会計で会社を強くする

  • 作者: 坂本 孝司
  • 出版社/メーカー: TKC出版
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 単行本



STLOWS韓国視察研修

(視察の趣旨)
韓国は経済成長が著しく、金融危機後においてもアジアの中では景気回復が最も早いといわれている。
韓国の人口は日本の約半分、6,400万人である。
そして、世界で最も人口密度が高い国でもある。
今回、STLOWS会員であるN社長のご配慮で、商品の仕入れ先である韓国を訪問させていただいた。
(行程)の一部を紹介しよう。
(板門店見学)
朝鮮の境界線で、38度線の緊張感を味わう。
北が韓国侵略のため、掘った第三トンネルに入ってみる。
かなり深いそのトンネルは、38度線を越え、韓国に侵入している。
トンネルを降り、そして昇りながら、これも我々と同じ人間が作ったものと考えると、人間が集う組織の理念、目的の重要性に気付く。
食物を食べて生きる同じ人間が、敵国に侵入するべく、トンネルを掘る。
一方、社会に役立つために掘るトンネルもある。
歴史の中で分断された朝鮮。
人間の愚かさ、悲哀を感じるとともに、平和を祈る意思を至る所に感じた。
余談ながら、天井の低いトンネルの中を屈みこみながら300メートル以上歩くこととなり、閉所恐怖症でなくとも圧迫感を感じた。
ヘルメットを着用が義務つけられていたわけだが、道中何回も頭をぶつけてしまう(笑)
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(第三トンネルの前で)
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(会社視察)
N氏は社長就任してから、国内市場からの仕入れでは競争できないと判断し、知人のご縁から韓国商社から仕入れることを決断。
ウォン安という為替の追い風も受けて、会社業績は社長就任後から伸び続けている。
消費者が女性のため、常にマーケティングを行う必要がある。
一番売上のある小売店に120点ほどのアイテムを提供し、売れ筋をチェック。
それを全国で販売する。
首都圏もあれば地方もある。
渋谷で売れたものが秋田で売れるとは限らない。
したがって、ユニクロのようなスタンダードなものを安く供給することを戦略としている。
最終消費者が何を欲しているか、常にマーケティングする。
そのアイテムを韓国商社と相談しながら、中国の工場で大量生産する。
きまぐれな消費者のニーズを常に把握しなければならない現場に同席し、ビジネスのリスクとともに限りないロマンを感じる。
(最後に)
日本の人口は減り、確実に需要は減る。
世界にマーケットを求めなければ、増収増益プランも描きにくい。
世界の中の日本。
急成長する韓国訪問、そして実際に韓国で商取引するSTLOWS会員N氏との出会いにより、「アジアの中の日本」を実体験させていただいた。
ありがとうございます。

国際会計基準は黒船か?

今朝の新聞各社が政権交代を伝えている。
此処石川県では、なんとか元森首相が小選挙区で勝った。
わたくしは、政治と宗教の話は極力しないこととしているので、事実のみを述べるにとどめておこう。
さて、日経ビジネス8月31日号「国際会計基準強制適用~売上半減、利益急増の驚愕」が面白い。
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「企業を測るモノサシを世界中で1つにする、国際会計基準(IFRS)が2015年にも日本で強制適用になる。
日本の会計基準も動き出し、変化は既に始まっている。
当面の対象は、上場企業の連結決算だが、取引相手となる中堅・中小企業にも影響は及ぶ。
モノサシの変化とともに大企業の企業行動が変わるからだ。
IFRSは日本の企業をどこまで変えるのか。」
会計ルールが企業行動に影響を与える。
何度も取り上げている「購入かリースか」、「商品券の引当金処理」など、中小企業においても影響があるものばかりだ。
マイナーな論点で恐縮であるが、新株予約権付社債を発行する際、新株予約権と社債を区分するか一括して会計処理するかは会社の任意であり、これまた選択により財務諸表が異なってくる。
この国際会計基準、今後も注視していきたい。

グループ経営に対する法人税制について見直し

政府が、グループ経営に対する法人税制について見直し検討に入った。
例えば、連結納税を採用していない企業において、グループ内での資産譲渡は課税しないとある。
言い換えれば、グループ間会社においては、含み損を抱える資産の損出しもできないこととなる。
今までの税務コンサルティングの根幹に影響を及ぼしそうな気配。
注視していきたい。。。
子会社からの配当非課税、法人税制、政府検討、グループ経営、円滑に。 (2009/08/16,日本経済新聞 朝刊, 1頁)
 政府は企業グループに対する法人税制について見直しに入った。親会社がグループ内の100%子会社から受け取った配当を課税所得に算入しない仕組みを導入。グループ経営が広がるなか、グループ内の資金移動の妨げになる税制を見直し、グループの余剰資金を設備投資などに振り向けやすくすることで企業活動の活性化を促す。同時に、大企業の100%子会社について中小企業向けの軽減税率の対象から外す措置も検討する。
(後略)

大手銀行の不良債権と税効果会計

大手銀行は、税効果会計制度で救済されたことは会計業界では夙に有名だ。
2000年頃、メガバンクは税効果会計を先駆けで導入した。
現状も増加し続けているが、銀行は多額の不良債権を抱えている。
金融庁の指導により、貸し出しの相手先が破綻する可能性が高くなると、貸出額の80%ほどを引当する必要が生ずる。
しかし、税務当局は、この引当金をすぐに税務上の損金とは認めず、実際にこの貸出先が破綻した際に損金として認める。
つまり、財務会計上は費用となるが、税務上は損金として計上されない「有税償却」が多い。
例えば、100億円貸している取引先が破綻懸念に陥り、金融庁のガイドラインに従って、80億円の引当金を計上することとなる。
法人税率が40%と仮定すると、仮にこの80億円が全額損金計上されると、32億円の法人税が節税できる。
しかし、税務当局はその破綻先が実際に破綻するまで、80億円を損金としては認めない。
そこで、適正な期間損益計算のため、32億円分の法人税等調整額を計上して、利益を上乗せし、税引後の当期利益を計上する。
さらに同額の繰延税金資産が貸借対照表上の資産の部に計上される。
(借方)繰延税金資産 32億円(貸方)法人税等調整額 32億円
将来戻ってくる予定の税額を利益の上乗せとして先取りして、資本増加させている。
この繰延税金資産は、将来の税金が安くなる、もしくは戻ってくる権利だから、将来32億円という現金が入っていくくる可能性がある。
その将来の可能性を見越して純資産の部(株主資本)を32億円増加させている。
結果として、銀行の自己資本比率を上昇させている、。
言い換えれば、税効果会計は、銀行の自己資本比率の上昇を助け、「銀行救済会計」と呼称される所以となった。。。
ここらへんから、税効果会計により増加した分を自己資本に組み込むのは如何なものかと議論が白熱しているのだ。
【参考文献】

会計と財務の本質 (実践!知の挑戦者に贈る究極のバイブルシリーズ―アカウンティング・ファイナンス編)

会計と財務の本質 (実践!知の挑戦者に贈る究極のバイブルシリーズ―アカウンティング・ファイナンス編)

  • 作者: 小宮 一慶
  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 単行本




会計不況に克つ!

会計不況に克つ!

  • 作者: 小宮 一慶
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 単行本




3メガ、自己資本比率上昇、6月末、厳格基準達成にメド。
(2009/08/15,日本経済新聞 朝刊, 4頁) 
三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、三井住友FGは14日、2009年6月末の連結自己資本比率を公表した。
3メガバンクそろって11~13%程度と、自己資本比率規制の最低ラインである8%を上回った。
一方、国際的に関心が高まりつつある自己資本比率のより厳格な基準も、市場が重視する4%の達成にめどがついた。
(後略)

減価償却制度の変更に伴う企業業績の影響度

数年前、職業会計人の質問ベスト5に「購入かリースか?」の選択肢が必ずあった。
減価償却制度が変更される以前は、税法は耐用年数を超えた場合でも購入価格の95%までしか税務上の費用として認めていなかった。
購入した場合と比して、リースならば、100%全額損金算入できる。
そこで、職業会計人は、リースのメリットの1つと説明していたものだった。
その昔、鉄屑が取得価格の5%程であったことから、残存価額をその分残したと言われる。
当時、減価償却制度が変更され、企業の業績に影響を与えたのだった。
減価償却(ことば)
(2007/03/29,日本経済新聞 朝刊, 15頁)
 固定資産は長期間利用するため取得時の費用は一括計上せず、使用する期間に応じて何年かにわたり配分する。通常は法人税法が決めている法定耐用年数を用いることが多く、取得額をその年数に応じて定率や定額の方法で償却する。
 税法は耐用年数を超えた場合でも取得価格の九五%までしか税務上の費用として認めていない。九五%を超えて償却しても税務上は費用にならず、課税所得は減らない。
 〇七年度の税制改正で減価償却が備忘価額(一円)まで認められるようになる。すでに九五%に達している資産についても残りの五%を償却すれば費用になる。企業としては税金面でのメリットを受けられる一方、会計上の利益は目減りすることになる。
減価償却、利益圧迫要因に―制度変更、製紙や石油、影響大。
(2007/03/29,日本経済新聞 朝刊, 15頁)
 二〇〇七年度の税制改正での減価償却制度の見直しが、〇八年三月期以降の企業業績を圧迫しそうだ。既存設備を含め全額損金算入が認められるためで、製紙や石油など古い大型設備が多い企業ほど影響が大きくなる傾向がある。償却費増が利益を押し下げるが、貸借対照表の圧縮や現金収支の改善につながるため、実質的に企業価値を押し上げる効果も期待出来る。
 企業は取得した固定資産を、税法上損金算入できる九五%までしか償却していないことが多い。償却期間の終わった設備を多く抱える業界では残り五%を償却する際の費用負担が大きくなる。
 紙生産設備を抱える製紙業界では王子製紙の残存価額がおよそ四百五十億円。〇八年三月期から五年で均等償却すると、年九十億円の営業減益要因となる。〇七年三月期の営業利益予想の一割強に相当する額だ。
 石油精製設備を全国に七カ所に抱える新日本石油は〇八年三月期から五年間に渡って百二十億円程度、利益を圧迫しそうだ。東京電力も発電設備などの残存価額が大きく、毎年四百億―五百億円(単独ベース)の減価償却費増につながる見通し。大型プラントを持つ化学や鉄鋼メーカーなどは一時的に償却費用が増加する可能性が大きい。
 減価償却費は現金支出を伴う費用ではない。一方で償却費の増加により税負担は減る。キャッシュフローにはプラスに働くため設備投資の増額なども可能になる。野村証券の野村嘉浩投資調査部次長は「基本的には企業価値には良い影響を与える」とした上で、「見かけの利益の減少を嫌気する投資家も少なからずいる」と指摘する。
 今回の制度改正では企業が費用計上する時期や区分のばらつきもでている。日本公認会計士協会は今月、監査上の取り扱いとして「原則、減価償却費として五年間で均等償却」する公開草案を出した。現状ではこれに沿った方針を取る企業が多いとみられる。
 もっとも三菱ガス化学は〇七年三月期に残存分の九十億円を一括で特別損失に計上する方針。大王製紙も「特殊要因で本業のもうけを示す営業利益が減るのはおかしい」と〇八年三月期からの五年間で特別損失で処理することを検討している。
 さらに三井化学や花王など以前から有税で全額償却している企業もある。その場合は利益への影響はなく、税負担だけが減少する。

会計基準は会社業績に影響を与える!(商品券と引当金)

会計は、投資家保護のため、適正な期間損益計算を目的としている。
新聞記事によれば、会社の発行する商品券の会計処理が変更されたという。どのような経緯があったのだろうか。検証していきたい。
会社が商品券やポイントカードを発行する利点の一つは、リピーター確保であろう。利用者も折角いただいたからには、使わなければ損という心理も働き、もう一度来店する。
利用者にとって、商品券やポイントカードは、お金の替わりとなる資産である。
一方、会社にとって、商品券やポイントカードは、お金を発行したのだから、貸借対照表時上、負債となる。
これは、あたかも銀行からお金を借りたのと同じだ。しかし、商品券は会社自身が発行する。自分で紙幣を刷れるのだ。こんな便利なことはない。自社がお金を発行しているので、負債となる。いずれ、利用者が購入する際、お金を頂戴する代わり利用するからだ。
従来、百貨店が自社で発行した商品券について、5年以上利用されていないものはいったん利益計上する慣行があった。
これは、あたかも自分で負債である借金を作り、その借金をチャラにして、収益を上げることと同じではないか。
商品券やポイントカードが、使用店舗の制約はあるものの、使用期限はなく、ほぼ現金と同じ決済手段にも関わらず、統計的に約8%は使用されない。それゆえに発行するだけで8%の利益が見込めるということだ。
このような会計処理は、投資家の判断を誤らせることにならないだろうか。より実体に即した会計処理として、引当金として費用計上すべきではないか。
引当金とは、投資家保護の観点から、適正な期間損益計算を行うため、収益・費用対応の原則から、期間費用として計上することが必要な負債である。
企業会計原則「注解18 引当金の計上要件」によれば、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする」とある。
この要件に当てはまるならば、5年という期限を越えても、商品券やポイントカードを使う可能性もあることから、その額については費用として引当金計上すべきであろう。
5年経って、一度に全額利益計上する慣行はおかしい。
そこで、公認会計士協会が将来の利用に備えて引当金を積む必要があるとの実務指針を公表したことを受け、大手百貨店を中心に07年度決算から引当金の計上をする動きとなった。
具体的には当期に利益処理する商品券のうち、翌期以降に使用される見込額を合理的に見積もり引当処理することになる。
 
【北國新聞の記事】
「3億円の最終赤字 金沢名鉄丸越百貨店 商品券、ポイントで引当金」
(2007/11/29, 北國新聞 朝刊, 2ページ)
めいてつ・エムザを運営する金沢名鉄丸越百貨店(金沢市)の二〇〇七年八月中間期の業績は、商品券やポイント制の会計基準の変更により、三億一千百万円の最終赤字となった。
天候不順や震災の影響で衣料品が振るわず、売上高は九十七億三千三百万円と前年同期比で3・6%減った。減収に加え、棚卸し資産の評価方法の変更に伴って評価損を計上したことで、経常損益は五千五百万円の損失となった。
最終赤字は、新たな会計基準を前倒しで導入したため。発行から四年を経過した商品券について、使用に備えて引当金を積み、さらに、会員カードについてポイントを付与した時点で、ポイントに応じた引当金を積むことにした。これにより、二億四千万円強の特別損失を計上した。
通期では、売上高がほぼ横ばい、経常損益は黒字化を予想する。最終損益は赤字となる見込み。親会社から支援を受ける計画はないという。

日本国の貸借対照表(会計学的発想が必要!)

仕事柄、財務諸表を拝見する機会が多い。
貸借対照表を見れば、経営者の財務姿勢がわかる。
先日の金曜日、財務省が日本国の貸借対照表(平成20年3月31日現在)を公表した。
国家は、もともとお金を一銭も持っていない。
国民から税金を徴収して国債という借金をして、配分する機能しか有しない。
やや乱暴な言い方をすれば、国家は、国民からカネを巻きあげてばらまいているにすぎない。
では、日本国の現状はどうかと言えば、資産よりも負債が多い債務超過状態だ。
282兆9千億円の債務超過。
総資産694兆円9千億円、総負債977兆7千億円円(うち、公債675兆円)。
282兆円の債務超過という額が大きすぎてイメージできない。
日本の医療費(毎年33兆円)の9年分か。。。
自己資本比率△40%。
資産負債の勘定科目内訳書も公表されているので、じっくりと吟味する。
未収金には税金の回収がされていないものも結構ある。
出資金には東京大学などの国立大学への出資が含まれている。
(概して、国立大学の経営は健全で評価損計上しているものはない)
キャッシュフロー計算書で分析すればより明確であるが、
1年間で現預金が5兆円減少し、公債という借金が24兆円増加したということは財務状況がどんどん悪化していることは自明だ。
経営者であれば、経営理念に基づいて、組織の継続を図るため、収入増加、支出を減少させる。
今、国会が解散して、経営者(政治家)が変わろうとしている。
この現状の中、税金を減らし、支出を増やそうとするアメの政策は、短期的に国民に受けるだろう。
どんどん貸借対照表が悪化している現状をみて、会計的に発想しなければ、日本の存続はありえない。
【日本経済新聞記事】
国の債務超過282兆円、07年度3.8兆円増、国債発行で膨らむ。
(2009/07/25,日本経済新聞 朝刊, 5頁)
 財務省は24日、2007年度の国の資産と負債の状況を示した貸借対照表を公表した。一般会計と特別会計を合算したところ、負債が資産を上回る「債務超過額」は282兆9千億円となり、06年度と比べ3兆8千億円増えた。貸付金など資産が目減りするとともに、国債の発行残高が増えたことなどが響いている。
 07年度の資産は前年度に比べて9兆6千億円少ない694兆9千億円。外国債券など外貨建て証券の保有額が増えたものの、財政投融資改革で財務省が政策金融機関などに貸し付ける額は27兆円減った。
 負債は5兆8千億円減の977兆8千億円。政府にとって借金となる新規国債と政府短期証券の残高は合わせて31兆8千億円膨らんだ。ただ郵便貯金などの預託金が大きく減ったため、差し引きで総額は減った。
 国と関係が深い独立行政法人や特殊法人など214法人を対象に加えた「連結」ベースの貸借対照表も公表した。資産が829兆4千億円だったのに対し、負債は1100兆5千億円で、債務超過額は271兆1千億円になった。
 07年度は税収が伸び、新規国債発行を1998年度以降で最も低い水準に抑えることができた。ただ08年度以降は景気が急速に悪化したため、足元の財政状況はさらに悪化しているとみられる。

更新頻度決定について

小さい頃から、書くことが好きでした。
ただ、毎日、200名を越える人がこのブログを見ている中で、中身のあるものを書けるかというと好き嫌いの世界でなくなってきたのも事実です。
また、凡事徹底の一事例として、「続けることは真似できない」を実践してきたわけですが、その使命も果たしたと考えました。(朝の入り口で社員への挨拶は継続!)
このブログを読み返すと、専務時代の思い出がたくさん詰まっています。
未熟な経営者なりに、努力を継続してきた生きた証といえば、大袈裟か?
どんな人と出合って刺激を受けたかなどなど。。。
これからは、会社の戦略、人事考課、幹部スタッフ向けのメッセージなど考えることが多岐にわたり、外部向けのブログに時間を割くことが難しいと判断しました。
従って、更新頻度は1週間に1回、業務開始(通常ならば、月曜日)の日の更新とします。
これからも宜しくご愛顧のほどお願い申し上げます。