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会計基準は会社業績に影響を与える!(商品券と引当金)

会計は、投資家保護のため、適正な期間損益計算を目的としている。
新聞記事によれば、会社の発行する商品券の会計処理が変更されたという。どのような経緯があったのだろうか。検証していきたい。
会社が商品券やポイントカードを発行する利点の一つは、リピーター確保であろう。利用者も折角いただいたからには、使わなければ損という心理も働き、もう一度来店する。
利用者にとって、商品券やポイントカードは、お金の替わりとなる資産である。
一方、会社にとって、商品券やポイントカードは、お金を発行したのだから、貸借対照表時上、負債となる。
これは、あたかも銀行からお金を借りたのと同じだ。しかし、商品券は会社自身が発行する。自分で紙幣を刷れるのだ。こんな便利なことはない。自社がお金を発行しているので、負債となる。いずれ、利用者が購入する際、お金を頂戴する代わり利用するからだ。
従来、百貨店が自社で発行した商品券について、5年以上利用されていないものはいったん利益計上する慣行があった。
これは、あたかも自分で負債である借金を作り、その借金をチャラにして、収益を上げることと同じではないか。
商品券やポイントカードが、使用店舗の制約はあるものの、使用期限はなく、ほぼ現金と同じ決済手段にも関わらず、統計的に約8%は使用されない。それゆえに発行するだけで8%の利益が見込めるということだ。
このような会計処理は、投資家の判断を誤らせることにならないだろうか。より実体に即した会計処理として、引当金として費用計上すべきではないか。
引当金とは、投資家保護の観点から、適正な期間損益計算を行うため、収益・費用対応の原則から、期間費用として計上することが必要な負債である。
企業会計原則「注解18 引当金の計上要件」によれば、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする」とある。
この要件に当てはまるならば、5年という期限を越えても、商品券やポイントカードを使う可能性もあることから、その額については費用として引当金計上すべきであろう。
5年経って、一度に全額利益計上する慣行はおかしい。
そこで、公認会計士協会が将来の利用に備えて引当金を積む必要があるとの実務指針を公表したことを受け、大手百貨店を中心に07年度決算から引当金の計上をする動きとなった。
具体的には当期に利益処理する商品券のうち、翌期以降に使用される見込額を合理的に見積もり引当処理することになる。
 
【北國新聞の記事】
「3億円の最終赤字 金沢名鉄丸越百貨店 商品券、ポイントで引当金」
(2007/11/29, 北國新聞 朝刊, 2ページ)
めいてつ・エムザを運営する金沢名鉄丸越百貨店(金沢市)の二〇〇七年八月中間期の業績は、商品券やポイント制の会計基準の変更により、三億一千百万円の最終赤字となった。
天候不順や震災の影響で衣料品が振るわず、売上高は九十七億三千三百万円と前年同期比で3・6%減った。減収に加え、棚卸し資産の評価方法の変更に伴って評価損を計上したことで、経常損益は五千五百万円の損失となった。
最終赤字は、新たな会計基準を前倒しで導入したため。発行から四年を経過した商品券について、使用に備えて引当金を積み、さらに、会員カードについてポイントを付与した時点で、ポイントに応じた引当金を積むことにした。これにより、二億四千万円強の特別損失を計上した。
通期では、売上高がほぼ横ばい、経常損益は黒字化を予想する。最終損益は赤字となる見込み。親会社から支援を受ける計画はないという。

日本国の貸借対照表(会計学的発想が必要!)

仕事柄、財務諸表を拝見する機会が多い。
貸借対照表を見れば、経営者の財務姿勢がわかる。
先日の金曜日、財務省が日本国の貸借対照表(平成20年3月31日現在)を公表した。
国家は、もともとお金を一銭も持っていない。
国民から税金を徴収して国債という借金をして、配分する機能しか有しない。
やや乱暴な言い方をすれば、国家は、国民からカネを巻きあげてばらまいているにすぎない。
では、日本国の現状はどうかと言えば、資産よりも負債が多い債務超過状態だ。
282兆9千億円の債務超過。
総資産694兆円9千億円、総負債977兆7千億円円(うち、公債675兆円)。
282兆円の債務超過という額が大きすぎてイメージできない。
日本の医療費(毎年33兆円)の9年分か。。。
自己資本比率△40%。
資産負債の勘定科目内訳書も公表されているので、じっくりと吟味する。
未収金には税金の回収がされていないものも結構ある。
出資金には東京大学などの国立大学への出資が含まれている。
(概して、国立大学の経営は健全で評価損計上しているものはない)
キャッシュフロー計算書で分析すればより明確であるが、
1年間で現預金が5兆円減少し、公債という借金が24兆円増加したということは財務状況がどんどん悪化していることは自明だ。
経営者であれば、経営理念に基づいて、組織の継続を図るため、収入増加、支出を減少させる。
今、国会が解散して、経営者(政治家)が変わろうとしている。
この現状の中、税金を減らし、支出を増やそうとするアメの政策は、短期的に国民に受けるだろう。
どんどん貸借対照表が悪化している現状をみて、会計的に発想しなければ、日本の存続はありえない。
【日本経済新聞記事】
国の債務超過282兆円、07年度3.8兆円増、国債発行で膨らむ。
(2009/07/25,日本経済新聞 朝刊, 5頁)
 財務省は24日、2007年度の国の資産と負債の状況を示した貸借対照表を公表した。一般会計と特別会計を合算したところ、負債が資産を上回る「債務超過額」は282兆9千億円となり、06年度と比べ3兆8千億円増えた。貸付金など資産が目減りするとともに、国債の発行残高が増えたことなどが響いている。
 07年度の資産は前年度に比べて9兆6千億円少ない694兆9千億円。外国債券など外貨建て証券の保有額が増えたものの、財政投融資改革で財務省が政策金融機関などに貸し付ける額は27兆円減った。
 負債は5兆8千億円減の977兆8千億円。政府にとって借金となる新規国債と政府短期証券の残高は合わせて31兆8千億円膨らんだ。ただ郵便貯金などの預託金が大きく減ったため、差し引きで総額は減った。
 国と関係が深い独立行政法人や特殊法人など214法人を対象に加えた「連結」ベースの貸借対照表も公表した。資産が829兆4千億円だったのに対し、負債は1100兆5千億円で、債務超過額は271兆1千億円になった。
 07年度は税収が伸び、新規国債発行を1998年度以降で最も低い水準に抑えることができた。ただ08年度以降は景気が急速に悪化したため、足元の財政状況はさらに悪化しているとみられる。

更新頻度決定について

小さい頃から、書くことが好きでした。
ただ、毎日、200名を越える人がこのブログを見ている中で、中身のあるものを書けるかというと好き嫌いの世界でなくなってきたのも事実です。
また、凡事徹底の一事例として、「続けることは真似できない」を実践してきたわけですが、その使命も果たしたと考えました。(朝の入り口で社員への挨拶は継続!)
このブログを読み返すと、専務時代の思い出がたくさん詰まっています。
未熟な経営者なりに、努力を継続してきた生きた証といえば、大袈裟か?
どんな人と出合って刺激を受けたかなどなど。。。
これからは、会社の戦略、人事考課、幹部スタッフ向けのメッセージなど考えることが多岐にわたり、外部向けのブログに時間を割くことが難しいと判断しました。
従って、更新頻度は1週間に1回、業務開始(通常ならば、月曜日)の日の更新とします。
これからも宜しくご愛顧のほどお願い申し上げます。

お知らせ

何も書かないのも寂しいですね(笑)
当ブログを業務内容に特化する方向で考えております。
なお、弊社広報誌「STLOWS」第69号の内容に一部誤りがありました。
誤った記事を掲載した事で皆様にご迷惑をお掛け致しまして深くお詫び申し上げます。
詳細は、弊社HPまで。

ブログ更新頻度の検討について

【お知らせ】
2006年4月からブログを続けています。
社長業へより一層専念するため、更新の頻度を再考しています。
土日祝日だけ休むのか、1週間ないしは10日間ごとに更新とするのか未だ検討中であります。
そして、今回、ブログの更新を休ませて頂き、次の更新は7月21日(火曜日)とさせて頂きます。
宜しくお願い申し上げます。

魔王

土曜日は、出張明けのオフィスで一人仕事をする。
ずっと今週は東京だったので、堆く溜まった書類を連続決済する。
オフィスへ行く前にタリーズコーヒーでグランデを注文。
おいしいコーヒーを飲みつつ、誰か来ないかなと思いつつ仕事をするも、誰も来ず。。。
午後3時前にオフィスを後にする。
久方ぶりの小説、伊坂幸太郎の魔王を読破。

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/09/12
  • メディア: 文庫




カリスマ首相の出現で、いとも簡単に日本は全体主義に走る危険性を孕む。
その首相は、宮沢賢治の詩を用い、国民とくに若者に呼びかける。
「諸君はこの颯爽たる
 
 諸君の未来圏から吹いて来る
 
 透明な清潔な風を感じないのか」
自分にとっては、難しかったな。。。
伊坂ワールドの良さがでてなかった。
「重力ピエロ」がベストか?

動産評価の可能性

金曜日の午前中、NPO法人動産鑑定の久保理事長より、「動産評価とファイナンス」というテーマを拝聴する。
従来の「不動産担保や経営者の個人保証に過度に依存しない融資」ではなく、棚卸資産も対象となるシステムだ。
久保理事長は、動産評価の本質は企業実態の把握であり、融資は結果と強調する。
金融機関は、貸付をした後、決算書などのような定量評価をスコアリングして、実質放置する。
しかしながら、動産は不動産とは異なり、文字どおり動産の評価は変動するので、金融機関に、定期的に動産の状況を報告する必要がある。
例えば、動産には家畜のような、本当に動くものも含まれる。
融資実績としては、りそな銀行(NHKも取り上げていた)で約40億円あるようだ。

JPBM地域会担当理事に。。。

木曜日の午前中は、提案力コンテストの受賞発表と審査委員長による解説が行われる。
金賞は、2年連続、名南経営センターであった。
プレゼンで発表した若手税理士のK氏と名刺交換させて頂くとき、26歳まで金沢に滞在していたと聞き、北陸にも逸材がいたと嬉しくなる。
肝心の我が事務所は、受賞を逃すこととなる。
来年に課題を残す。
午後、JPBMの総会では、理事に任命され、地域会を担当することとなる。
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2009年JPBM提案力プレゼンテーション

水曜日の午後より、JPBM提案力プレゼンが開始される。
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今回は、トップバッター。
第一問はM部長、第二問は私が担当する。
M部長が説明の途中、苦しげな表情をみせ、後で聞けば、過呼吸だったという。
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15分という限られたプレゼンテーションで、早く話さなければならないという意識があったことが原因と推測される。
11会計事務所の発表を聞き、事務所体制の差を感じる。
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また、机上のプランとしては理論上素晴らしいが、実務上どうかと問われれば、その実効性に疑問を持つプランも当社も含めていくつかあった。
【当事務所のプラン】
第一問 負担付き贈与による事業譲渡
第二問 民事再生法の法的整理に準じた私的整理
プレゼンも無事終わり、M部長と打上げを企画したところ、新宿で別の用があるという。
そこで、京都の大手会計事務所の幹部、H氏と新橋で飲むこととする。
H氏もかつての提案力コンテスト参加者であり、銀賞・銅賞を受賞した豪腕会計人。
H氏「まさか、ご自身が参加しているとは思いませんでした。。。」
私「まず、自らが提案力をつけようと変化せねばと思いまして。」
H氏「40歳過ぎたら出てはいけないと思っていました(笑)。もう1回でてみようかな。」
私「確かに若い人が多かったですね。
 恥をかいて悔しい思いをして、スタッフがこの状況を打破せねばと意識が変われば、参加する意味があったと思います。
 こんなんじゃ可愛そうだから、来年は代わりに参加しようと思いませんかね(苦笑)」
その後、職業会計人の思いをぶつけあう。

2009年JPBM提案力コンテストへ

火曜日より、JPBM提案力コンテストに参加するため、東京へ向かう。
JALの飛行機を降りた後、あるSTLOWS会員の父上T氏から声をかけられる。
お互い時間があったので、しばし将来の戦略会議。。。
水曜日まで、M部長と東京の「五反田ゆうぽうと」に滞在している。
今年度は、開業医と法人の再生案件2問が課題として取り上げられ、全国11の会計事務所が、その提案を競う。
時間が24時間と限られているため、昨年同様、睡眠不足状態でプレゼンを行う。
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ところで、明けない夜はないですね^^
ちゃんと、太陽が光を届けてくれる。
景気が悪かろうと株価が上下しようとも提案書がうまく書けなくても、自然は変わらない(笑)
昨年は、大恥をかいたおかげで、悔しさもあり、それをバネにして実際の提案もいくつかさせて頂き、会社の収入に若干貢献できた。
提案力コンテストは、そういう起爆剤になればと思う。
追伸
MMPGのM-LAN、「医療法人の税務ポイント」がアップされており、早速、チェックする。
菊地会長のエッジの効いた挨拶で、その直後の私のやや「にやけた」表情が相当に気になる(苦笑)
また、緊張状態を自身でほぐそうとしてか、体が揺れている。
さらに、声に力が入りすぎていて、聞き取りにくい箇所もある。
次回、目の焦点が合っていないので、きちんと何かを見据えるようにしよう。
むむっ、この視聴は、拷問に近い、内省タイムの機会となる。
レジェメは、まともなので。。。(笑)
次回は、もっとうまく話しますので、長い目で見ていただければ有り難く宜しくお願い申し上げます。(祈)
それにしても、1年間アップされ続けるとは。。。