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2009/08/03

会計基準は会社業績に影響を与える!(商品券と引当金)

会計は、投資家保護のため、適正な期間損益計算を目的としている。
新聞記事によれば、会社の発行する商品券の会計処理が変更されたという。どのような経緯があったのだろうか。検証していきたい。
会社が商品券やポイントカードを発行する利点の一つは、リピーター確保であろう。利用者も折角いただいたからには、使わなければ損という心理も働き、もう一度来店する。
利用者にとって、商品券やポイントカードは、お金の替わりとなる資産である。
一方、会社にとって、商品券やポイントカードは、お金を発行したのだから、貸借対照表時上、負債となる。
これは、あたかも銀行からお金を借りたのと同じだ。しかし、商品券は会社自身が発行する。自分で紙幣を刷れるのだ。こんな便利なことはない。自社がお金を発行しているので、負債となる。いずれ、利用者が購入する際、お金を頂戴する代わり利用するからだ。
従来、百貨店が自社で発行した商品券について、5年以上利用されていないものはいったん利益計上する慣行があった。
これは、あたかも自分で負債である借金を作り、その借金をチャラにして、収益を上げることと同じではないか。
商品券やポイントカードが、使用店舗の制約はあるものの、使用期限はなく、ほぼ現金と同じ決済手段にも関わらず、統計的に約8%は使用されない。それゆえに発行するだけで8%の利益が見込めるということだ。
このような会計処理は、投資家の判断を誤らせることにならないだろうか。より実体に即した会計処理として、引当金として費用計上すべきではないか。
引当金とは、投資家保護の観点から、適正な期間損益計算を行うため、収益・費用対応の原則から、期間費用として計上することが必要な負債である。
企業会計原則「注解18 引当金の計上要件」によれば、「将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものとする」とある。
この要件に当てはまるならば、5年という期限を越えても、商品券やポイントカードを使う可能性もあることから、その額については費用として引当金計上すべきであろう。
5年経って、一度に全額利益計上する慣行はおかしい。
そこで、公認会計士協会が将来の利用に備えて引当金を積む必要があるとの実務指針を公表したことを受け、大手百貨店を中心に07年度決算から引当金の計上をする動きとなった。
具体的には当期に利益処理する商品券のうち、翌期以降に使用される見込額を合理的に見積もり引当処理することになる。
 
【北國新聞の記事】
「3億円の最終赤字 金沢名鉄丸越百貨店 商品券、ポイントで引当金」
(2007/11/29, 北國新聞 朝刊, 2ページ)
めいてつ・エムザを運営する金沢名鉄丸越百貨店(金沢市)の二〇〇七年八月中間期の業績は、商品券やポイント制の会計基準の変更により、三億一千百万円の最終赤字となった。
天候不順や震災の影響で衣料品が振るわず、売上高は九十七億三千三百万円と前年同期比で3・6%減った。減収に加え、棚卸し資産の評価方法の変更に伴って評価損を計上したことで、経常損益は五千五百万円の損失となった。
最終赤字は、新たな会計基準を前倒しで導入したため。発行から四年を経過した商品券について、使用に備えて引当金を積み、さらに、会員カードについてポイントを付与した時点で、ポイントに応じた引当金を積むことにした。これにより、二億四千万円強の特別損失を計上した。
通期では、売上高がほぼ横ばい、経常損益は黒字化を予想する。最終損益は赤字となる見込み。親会社から支援を受ける計画はないという。

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名前
木村 岳二(Kimura Gakuji)
年齢
1970年生まれ A型
職業
会計事務所経営
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g-kimura@kkb-jp.com

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