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「ナタリー」<648>

 

知人の作家・福ゐ行介氏の既刊「シロガミ」、「彩雲」に続く第3作「ナタリー」を親書とともに贈呈いただく。

 

4/23に幻冬舎から発売されている。

 

帯にあるストーリーは、

 

写真家の「僕」は、アメリカ東部の小さな町でナタリーと出会い、恋に落ちる。

二人は時を共にし、未来を語り合うが、ナタリーはメラノーマという病に倒れる。

無保険の彼女に残された道は、日本で治療を受けること。

しかし、すべてが遅すぎたー。

「僕」はナタリーの遺灰を抱えて旅をしながら、不平等なアメリカの医療制度と向き合い、彼女が求めた理想を追い続ける。

悲しみの先にある、新たな希望の軌跡とは。

 

国境も制度も超えて、ただ守りたかった命がある。

人を愛するということ、人生の意味を問いかける一冊。

 

詳しくは、お買い求めいただきお読みください。

 

福ゐ行介こと坂井浩介氏とは34年の付き合いになる。

 

1956年福岡生まれ。

日本大学芸術学部写真学科卒。

MMPG(メディカル・マネージメント・プランニング・グループ)の役員、大学非常勤講師在任中から作家活動に入る。

 

いつかは有名作家になる逸材で、期待しております。

 

 

(写真)

・「ナタリー」と親書

健康経営の取り組み(1) 2025

はじめに~2040年に向けて

 

いわゆる2025年問題が今年。

 

2025年は、高齢者人口増加の転換期であり、その後も65歳以上の高齢者人口と75歳以上の後期高齢者人口の増加はとどまるところがなく、2040年にピークを迎えるという。

 

高齢化社会の進展による課題は以下の通り。

①医療費や介護費の増大

②労働力の不足

③社会保障制度の持続可能性の確保

 

2040年には、団塊ジュニア世代(1971-1974年生まれの第二次ベビーブーマー)が65歳以上となり、65歳以上の高齢者が人口の約35%を占めることになる。

2025年問題の状況がさらに深刻化することを「2040年問題」という。

 

健康経営の取り組み~経済産業省の試み

経済産業省は、東京証券取引所と共同で、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組む上場企業を「健康経営銘柄」として選定している。

今年(2025年)の受賞は53社。

この中には富山のゴールドウィンが含まれている。

蛇足ながら、たまに小矢部にあるゴールドウィンゴルフ倶楽部でラウンドさせて頂いている。

非常に美しいゴルフ場だ。

 

3月11日授賞式の翌日の12日には、パネルディスカッション「継続がもたらす効果と広がりー健康経営の展望を探るー」があり、パネリストには、早稲田大学大学院 経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール 教授の入山 章栄 先生が登壇された。

余談ながら、ポッドキャスト「入山 章栄のイシューで経営理論を語ろう」は毎回楽しみに必ず拝聴している。

入山先生の視点は、経営だけではなく、政治など幅広く面白い。

 

さて、「健康経営」とは、従業員の健康保持・増進の取り組みが将来的に企業の収益性を高める投資という前提があり、従業員の健康管理を経営的な視点から実践する経営だ。

健康経営の推進は、従業員の活力や生産性の向上の組織の活性化をもたらし、結果的に業績や企業価値の向上につながるとしている。

「生きている会社、死んでいる会社」(Dead or Alive) 50周年を迎えて

遠藤功氏の「生きている会社、死んでいる会社」(Dead or Alive)を読む。

「死ぬ」兆候として、慢心や安心があるという記述に着目する。

ある程度、成長軌道にのり、安定してくると、慢心や安心感が出てくるのは仕方ない。

人間でいえば、脂肪が多くなる高脂血症というところだろうか。

 

「生きている会社」の特徴の代表例として、AMAZONの「DAY ONE」思想が挙げられている。

「Every day is still Day One」(毎日が創業初日)という企業理念。

ジェフ・ベソスCEOが唱え続けてきた。

創業時、老廃物やぜい肉はない。

新しいことにチャレンジできる社風がある。

 

今年、木村経営グループは50周年を迎える。

翻って、今、創業時の情熱はあるか。

自問する今日この頃だ。

「石川県の地域医療の現状」<647>

4/22、日本医業経営コンサルタント協会石川県支部の研修で、石川県健康福祉部地域医療政策課の細木信哉課長から「石川県の地域医療の現状と今後の方向性について」と題し講演いただいた。

以下、一部要点のみ記述する。

 

・石川県総人口はR7現在1092千人で3年前から103千人減少し、15年後は114千人減少し978千人と100万人を割り込む推計。

うち65歳以上の高齢者人口はR5の334千人からR22には356千人と増加する。

・石川県は全国と比較すると、人口当たりの病院や病床数が多い。

なお、医療機関のダウンサイジング(病院から診療所への転換)等が進み、病床数は減少傾向にある。

・急性期から回復期への転換、療養病床の医療介護院への転換が進んでいる。

・医師、薬剤師、看護職員の数は増加傾向にある一方、従事する地域や職場、診療科などに偏りがある。

・75歳以上の患者数は、入院は減少、外来はやや増加傾向にある。

・高齢者人口の増加に伴い、訪問診療も増加。

訪問診療は石川中央を中心に増加、令和22年には県全体で12千件となる見込み。

・石川県の第8次医療計画(重点項目)

1.切れ目のない医療提供

2.柔軟な医療連携体制

3.新興感染症の感染拡大時の体制整備

4.子供の医療体制充実

5.医師・医療従事者の確保

6.地域の医療機関相互の機能分担と連携強化

 

さらに、令和6.1.1能登半島地震と令和6.9.21奥能登豪雨への支援強化が課題となっている。

 

 

(写真)

・石川県庁の満開桜。(4/21)

会計検査院の指摘 2025

前回、「賃上げ促進税制」を取り上げた。

今回は、「賃上げ促進税制」の上乗せ規定である教育訓練費の実額改正について触れてみたい。

改正の発端は、会計検査院の指摘であった。

 

適用要件は教育訓練費の増加であるにもかかわらず、税額控除額の計算基礎は給与等支給の増加額であることに会計検査院は着目した。

教育訓練費に係る上乗せ税額控除では、教育訓練費の増加という適用要件を満たせば、実際に教育訓練費が少なくても、給与等支給額の増加が大きければ、多額の税額控除を受けることができる。

会計検査院は、この点を問題視した。

たとえば、適用前の教育訓練費支出額が10万円で適用時の教育訓練費支出額が12万円である場合(教育訓練費増加額が2万円で教育訓練費増加割合が20%の場合に該当する!)には、教育訓練費に係る上乗せ税額控除の適用要件を満たすことになる。

具体的には、適用事業年度の給与等支給増加額が1,000万円であるとき、中小企業者等向けの税額控除は給与等支給増加額の10%相当額である100万円となり、税額控除額(100万円)が教育訓練費増加額(2万円)を大きく上回る。

教育訓練費の増加額が少額(この事例であると2万円)であっても、給与等支給額の増加額が大きければ、税額控除額が教育訓練費増加額を上回る事態となる。

 

令和6年の税制改正で新たに適用事業年度の教育訓練費の額が、適用事業年度の雇用者給与等支給額の 0.05%以上であることが要件として追加になった。(前年度 0 円でも適用可)。

具体的には、適用事業年度の雇用者給与等支給額が5億円の場合、 0.05%以上であると、250万円以上の教育訓練費が少なくとも必要となる。

会計検査院は、教育訓練費の最低限(この場合であると250万円)を規定することにより、容易に教育訓練費の上乗せ適用を出来なくした。

「全国6割以上の病院が赤字」<646>

3月、6つの病院団体による公表によると、全国1700余りの病院で2024年6月から11月までの経営状況を調べた結果、経常利益が赤字となった病院は全体の61.2%にのぼり、2023年の同じ時期に比べて10.4ポイント増加しました。

また、補助金などを除いた医業利益をみると69%の病院が赤字で、2023年より4.2ポイント増加しています。

こうした背景には物価高などによる経費の増加が大きく、病院給食などの委託費は2023年に比べて4.2%上昇したほか給与費も2.7%増えたということで、物価と人件費の上昇に診療報酬などの収入が追いつかず、地域の医療は崩壊寸前だと指摘しています。

調査を行った日本医療法人協会は「病床の利用率が90%を超えないと黒字にならない病院もあるとみられ、地域の病院が突然無くなるような事態にある。

国には、物価などの上昇に応じて診療報酬が上がる仕組みを考えてもらわないと、持続的に医療を提供することは不可能だ」と話しています。

 

病院が倒産する前兆は。

・患者さんの数が減少している。

・スタッフの離職率が高い。

・病院の悪い口コミや評判か多くなっている。

・医師のスキルや知見が不足している。

・病院が不便な立地にある。

・職場で人間関係の問題が発生している。

・資金繰りが悪化している。

・広報や宣伝が機能していない。

・病院の後継者がいない。

 

病院を潰さない対策には

・スタッフによ医療技術の向上をサポートする。

・開業地調査をしっかり行う。

・スタッフの採用と育成に注力する。

・経営状態や患者動向を把握する。

・広報活動に注力する。

・後継者に良い人材が見つからない場合は、第三者への医療継承も選択肢に。

 

潰れる前兆を見逃さず、適切な対応で病院を存続させよう。

 

(写真)

  1. 4/10、フラワーガーデンで増築されたオリエンタルガーデンの披露宴。
  2. 4/12、片山津ゴルフ倶楽部でTKC企業防衛ゴルフ。
  3. 4/15、第29回アルプ懇親ゴルフの表彰式。

賃上げ促進税制の留意点 2025

はじめに~政府の本気「賃上げ促進税制」

日本政府の賃上げ要請の圧がすごい。

「賃上げ」が日本の経済成長のエンジンだと本気で要請している。

その本気の政策の一つが「賃上げ促進税制」だ。

詳細については、中小企業庁の「賃上げ促進税制」パンフレットに詳細が記載されている。

中小企業庁:中小企業向け「賃上げ促進税制」

 

1.「賃上げ促進税制」の強化~3年間の正念場

令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度が対象となる3年間の強化策の目玉。

それが、中小企業向けの「控除限度超過額を 5 年間繰越しができる制度の創設」だ。

欠損金の繰越控除のイメージとほぼ同じ。

今年度が赤字でも、翌年以降の黒字があれば適用できる。

今期は赤字だから適用は見送るという判断は出来ない。

適用できるならば、全ての中小企業は計算する。

計算がご丁寧にも煩雑だ。

税務コストは企業のみならず、顧問税理士にも容赦なくのしかかってくる。

 

2.判断ミスが命とりに~租税特別措置法に後出しじゃんけんは無理筋

今期は赤字だからという判断で、「賃上げ税制」の適用は見送った企業の話だ。

後日、税務調査があり、多額の追徴があった。

法人税を払う段になり、「賃上げ税制」の適用を顧問税理士に求めても後の祭り。

修正申告の際の適用は出来ない。

租税特別措置法の適用に関しては、後出しジャンケンは出来ないのだ。

戦慄、そして時が凍る瞬間。

正解は、確定申告の際に赤字でもなんでも適用して申告することであった。

いずれにせよ、今後は、5年間の繰越があるので、このような判断ミスはないであろう。

他にも、中小企業向けの適用は出来なかったが、後で検証してみると、全企業向けは適用できたという事例も散見される。

ここらへんも留意したいところだ。

 

 

「スキマバイト」と「賃上げ促進税制」3 2025

2.ギグワーカーは賃上げ促進税制の対象

前回、このスキマバイトを雇用する企業にとっては、人材不足の中の有益な人材確保手段でもあり、支払う賃金がある一定の要件のもとに「賃上げ促進税制」の対象となることを確認した。

タイミーで スキマバイトをしている場合、企業と雇用関係がある。

税法上は日雇い労働者 、税額表の 甲・乙・丙 の 丙に該当する。

タイミーというアプリを利用して雇用したギグワーカーであっても、賃金台帳に記載があれば、賃上げ促進税制における「国内雇用者」に該当する。

賃金台帳は、労働基準法で事業主に作成・保存が義務付けられている法定帳簿の一つ。

労働者の賃金額やその賃金額の計算の基礎となる事項などが記載等されていれば賃金台帳に該当する。

ギグワーカーの情報については、運営会社から企業側に対して、賃金額等の明細書が発行される。

同明細書を基に、自社で作成する賃金台帳に所定の事項を記載しておくことで、そのギグワーカーは「国内雇用者」に該当する。

また、タイミーから提供される明細書自体が賃金台帳に該当する場合もある。

「第81回現代美術展」<645>

 

3/31、時間が空いたので金沢21世紀美術館での洋画、彫刻、写真と石川県立美術館での日本画、工芸、書を観賞した。

現代美術展は1945年10月に第1回展を開始しているから私の2歳のときだ。

 

作品は6部門からなり、石川県美術文化協会役員・会員の委嘱出品作と、一般公募からの入賞・入選作を合わせた1,076点が展示されていた。

石川県美術文化協会の会員数は3/20現在452人。

 

日本画を観賞していたら、偶然に松永敏先生の解説会に出会う。

 

人間の五感を表現する素晴らしい美術作品に接して、暫し憂さばらしになった。

 

4月14日(月曜日)まで開催されています。

 

 

(写真)

1、美術文化準大賞を受賞した、日本画「随に(まにまに)」の自作を解説される松永敏先生。

2、現代美術展冊子。

 

「スキマバイト」と「賃上げ促進税制」2 2025

1.給与支払報告書の提出義務回避の工夫とは

タイミーという会社は、市町村へ提出する給与支払報告書の提出を回避するため、同一企業で働ける1年間の収入の上限を28万円までに制限しているという。

給与支払報告書とは、従業員の住民税を計算するために企業が市区町村へ提出する書類をいう。

前年の給与支払額や控除の内容を企業が報告して市町村が住民税などを確定する。

給与支払報告書は「年間支払額30万円以下の退職者」のみ提出不要となる特例があるので、年収が30万円に満たない短期労働者に対して給与支払報告書は必要ないというわけだ。

年間28万円制限は、給与支払報告書提出の他、残業代の発生や社会保険の加入義務などを回避している。

すべて、企業の手間や負担を減らすためと説明している。

なお、この年収制限を守っていても、タイミー含む合計の収入が103万円を超えていている場合、確定申告が必要になる。

また、副業でタイミーを利用している場合、年間の収益が20万円を超えるなら確定申告の義務がある。