2022/03/20
医師の働き方改革と宿日直許可 2022
はじめに~「医師の働き方改革」
令和6年(2024年)4月にむけた「医師の働き方改革」もいよいよ佳境に入ってきた。
今年(2022年)の4月に開設される医療機関勤務環境評価センターの事業に関し、日本医師会が委託を受けるなど、具体的に動きだしている。
1.医師の勤務実態
ドクターの勤務実態を概観すると、他の職種と比して、副業が多いことがわかる。
大学病院常勤勤務医においては、9割以上が複数の医療機関で働いている。(大学病院以外では4割強の副業実態)
大学病院から民間病院へ医師を派遣する際、宿日直が派遣先の労働時間に該当するか否かが喫緊の課題となっている。
医療法では、医師を常駐しなければならないと規定している。
地域医療を守るという医師の崇高な理念のもと、宿日直は何の疑問もなく当たり前に行われてきた。
今回の医師の働き方改革にて、「医師の宿日直」についてメスが入る。
2.宿日直と労働時間
宿日直が時間外労働と認定された場合には、残業規制が遵守できない民間病院が多発(多額の時間外手当の支給で経営を圧迫)することから、「宿日直問題」がこの医師の働き方改革の目玉となっている。
昭和24年の「医師、看護婦等の宿直勤務について」は廃止され、令和元年「医師、看護師等の宿日直許可基準について」が新たに発出された。
昭和の時代に、宿日直許可をとっている病院は戦々恐々としている。
これまでは宿日直は寝ているだけという認識で労働時間として計算していなかった。
宿日直許可がある場合は、ドクターの宿日直は労働時間に該当しない。
宿日直許可がない場合は、寝ている時間も労働時間に該当する。
許可の有るなしで、残業規制に大いなる影響を与える。
この令和時代の基準にて果たして許可を得ることができるのだろうか。
許可次第では、派遣元の大学病院も医師の派遣を差し控えることも考えられる。
3.行政の判断と対応
労働局は、労働の実態に即して判断するとの姿勢は堅持しており、具体的事例が待たれるところである。(例えば、夜間が多忙な診療科目で分けるなど)
病院としても、労働局に聴きたいところではあるが、聴いて「ヤブヘビ」となることも避けたい。
こういう場合は、県にある「医療勤務環境改善支援センター」に相談を頂ければと思う。
行政が民間の経営に影響を与える。
経営だけではない、地域医療にも影響しかねない。
「宿日直問題」は、単なる行政の判断では済まされない大きな課題だ。
この記事へのコメントを書く